夜よ鼠たちのために (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社 (2014年9月4日発売)
3.53
  • (66)
  • (180)
  • (162)
  • (46)
  • (10)
本棚登録 : 1688
感想 : 187
3

1980年代の作品なので、昭和の香り漂う世界観さえ気にしなければ、推理ミステリーとしての意外な展開を、十二分に堪能できる傑作集です。

その意外性は、終盤にきて、おもいきりひっくり返されるものが多く、内容も多彩で、私的には、そうきたかと驚かされるものばかりで、新鮮でした。

また、推理ミステリーだが、物語が情感あふれる濃い内容で、むしろ、こっちがメインなのではと思うくらいの素晴らしさもありました。

それは、「夜よ鼠たちのために」の犯人の非道さ、「化石の鍵」の娘の愛情、「二重生活」の女性の哀愁、「ひらかれた闇」の不良少年少女たちへの優しさ等、内容も多岐に渡っております。

その中でも、特に気になったのは、「ベイ・シティに死す」の、ヤクザ者たちの愛の交錯で、倫理的には理解出来ないのだろうけれど、感情的には理解出来るものがあったんですよね。
おそらく、昭和のアウトロー的な哀愁に、共感出来た感じに似ていると思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年2月12日
読了日 : 2021年2月12日
本棚登録日 : 2021年2月9日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする