小学五年生 (文春文庫 し 38-8)

著者 :
  • 文藝春秋 (2009年12月4日発売)
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感想 : 182
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ーー重松清さん作品の「子ども」はタイムマシンだ。

手を取って教室まで引き込んでくれる。僕も生徒のひとりになった感覚にしてくれる。それはくすぐったかったり、ヒリヒリしたりするが、干上がっていたあの頃の感覚がみずみずしく蘇ってくるのを感じる。

今、僕にはちょうど小5の娘がいる。去年まで男の子の家にお邪魔させていただくこともあったが今年から行かなくなった。背が急に伸びだす子もいる。

つまり「小学5年生」は男女それぞれを意識し始める頃。ここからが分かれ道が始まる。逆に言えば、この頃までは「男女が体験や感覚を共有している」とも言える。

だから重松さんは第二次成長前の子どもたちをよく登場させるのではないかと思った。元「男の子」の男性読者も、元「女の子」の女性読者も共感できる領域が広い小学5年生。タイムスリップさせるには最適な季節だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年8月22日
読了日 : 2022年9月10日
本棚登録日 : 2022年9月10日

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