永代橋 隅田川御用日記(二) (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社 (2022年7月13日発売)
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感想 : 4
5

お登勢と十四郎のこまやかな夫婦愛を見事に描かれています。

江戸の駆け込み寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」を営む、女主・お登勢と夫で一刀流の遣いて塙十四郎が、離縁したい女の悩みを聞き、親身に相談に乗る物語です。女性のこまやかな心の動きがよく表れていて読みごたえのある作品になっています。さすがは藤原緋沙子さんの本だと嬉しくなります。

【永代橋】
想いあう吾一とおなつ。おなつは、親に八両で女郎屋に売られ、それを知った吾一は、おなつを助けるために江戸へ出て知りあった盗賊法雲一味に入り、おなつに十五両を送る。おなつは、そのお金で女郎屋を出て、吾一を探しに江戸へ出てきて塙十四郎と会い、橘屋で吾一を探す。十四郎とおなつの説得で吾一は……、法雲一味が御用となる。おなつの吾一への激しい想いが、感じられる物語になっています。

【米屋の女房】
信濃国、佐久間藩の美冴は、理不尽にも兄二人を殺された仇の山崎軍兵衛と決闘をする。兄を亡くし家を失った美冴は、名をおみさと変え米屋「神田屋」新兵衛の内儀となった。夫の体を気遣うおみさは、祈祷を頼みに祈祷師の宗拓に会うと、仇の軍兵衛と分かり、十四郎たちの止めるのも聞かず。新兵衛と離縁して仇討ちに向かいます。十四郎が立会人になり本懐をとげます。美冴の頑なな、だが一途な心模様がよくあらわれています。

【読後】
「永代橋」を読み終って地図で隅田川にかかっている永代橋からかつての深川地区を見ていくと、小名木川の南に「南砂」の地名が目に入ります。二十歳代の頃、仕事で千葉から都心に帰るのに混んでいる高速を降りて、このあたりをよくはしりました。その時には荒涼としたなかに倉庫が立ち並ぶ一帯であったが、地図で見ると碁盤目で、マンションや大きな都営団地があるのにビックリします。今度は、永代橋を歩いて渡って深川地区へ行ってみたいです。
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隅田川御用帳シリーズ20作目
永代橋 ー 隅田川御用日記シリーズ2作目《文庫本》
2022.07発行。字の大きさは…中。2023.05.06~09読了。★★★★★
永代橋、米屋の女房、の中編2話。
図書館から借りてくる2023.04.22
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《隅田川御用日記シリーズ一覧》
02.永代橋  2023.05.09読了
01.雁もどる 2021.05.13読了
なお、隅田川御用帳シリーズ1作目~18作目までは、ブクロク登録前のため登録していません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2023年5月9日
読了日 : 2023年5月9日
本棚登録日 : 2023年4月22日

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