永代橋 隅田川御用日記(二) (光文社文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334793654

感想・レビュー・書評

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  • お登勢と十四郎のこまやかな夫婦愛を見事に描かれています。

    江戸の駆け込み寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」を営む、女主・お登勢と夫で一刀流の遣いて塙十四郎が、離縁したい女の悩みを聞き、親身に相談に乗る物語です。女性のこまやかな心の動きがよく表れていて読みごたえのある作品になっています。さすがは藤原緋沙子さんの本だと嬉しくなります。

    【永代橋】
    想いあう吾一とおなつ。おなつは、親に八両で女郎屋に売られ、それを知った吾一は、おなつを助けるために江戸へ出て知りあった盗賊法雲一味に入り、おなつに十五両を送る。おなつは、そのお金で女郎屋を出て、吾一を探しに江戸へ出てきて塙十四郎と会い、橘屋で吾一を探す。十四郎とおなつの説得で吾一は……、法雲一味が御用となる。おなつの吾一への激しい想いが、感じられる物語になっています。

    【米屋の女房】
    信濃国、佐久間藩の美冴は、理不尽にも兄二人を殺された仇の山崎軍兵衛と決闘をする。兄を亡くし家を失った美冴は、名をおみさと変え米屋「神田屋」新兵衛の内儀となった。夫の体を気遣うおみさは、祈祷を頼みに祈祷師の宗拓に会うと、仇の軍兵衛と分かり、十四郎たちの止めるのも聞かず。新兵衛と離縁して仇討ちに向かいます。十四郎が立会人になり本懐をとげます。美冴の頑なな、だが一途な心模様がよくあらわれています。

    【読後】
    「永代橋」を読み終って地図で隅田川にかかっている永代橋からかつての深川地区を見ていくと、小名木川の南に「南砂」の地名が目に入ります。二十歳代の頃、仕事で千葉から都心に帰るのに混んでいる高速を降りて、このあたりをよくはしりました。その時には荒涼としたなかに倉庫が立ち並ぶ一帯であったが、地図で見ると碁盤目で、マンションや大きな都営団地があるのにビックリします。今度は、永代橋を歩いて渡って深川地区へ行ってみたいです。
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    隅田川御用帳シリーズ20作目
    永代橋 ー 隅田川御用日記シリーズ2作目《文庫本》
    2022.07発行。字の大きさは…中。2023.05.06~09読了。★★★★★
    永代橋、米屋の女房、の中編2話。
    図書館から借りてくる2023.04.22
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    《隅田川御用日記シリーズ一覧》
    02.永代橋  2023.05.09読了
    01.雁もどる 2021.05.13読了
    なお、隅田川御用帳シリーズ1作目~18作目までは、ブクロク登録前のため登録していません。

  • 「隅田川御用帳」の続きとなるセカンドシリーズ「隅田川御用日記」の第二弾。
    縁切寺「慶光寺」の御用宿〈橘屋〉を巡る人情中編二話が収録されています。

    第一話「永代橋」:〈橘屋〉に上方から出てきた酒問屋の内儀が離婚希望で訪れます。主人が江戸で妾を囲っているのが理由のようで。さらにその翌日、〈橘屋〉の主・十四郎は幼馴染の想い人を探しに江戸に出てきたおなつが絡まれているのを偶々助けますが・・。
    第二話「米屋の女房」:兄の仇を討つために剣術に励み、家族を仇討ちに巻き込まない為に離縁を望んで〈橘屋〉にやってきた、元武家の米屋の女房おみさ。巷をザワつかせている似非祈祷師が、その仇のようで・・。

    十四郎とお登勢夫婦の安定感は相変わらずで、二人の娘のお幸もかわいい盛り。十四郎の親バカっぷりも微笑ましいです。
    やんちゃ小僧だった万吉も頼もしくなりましたが、お民と絡む時はやんちゃモードに戻るようですね。
    鶴吉や七之助といった〈橘屋〉の若い衆も頑張っているようで何よりです。
    今回は御用宿に駆け込んでくる女性達の事情と盗賊一味だったり、似非祈祷師の殺人疑惑だったりと人情噺と捕物帳がマイルドにミックスされている感じでした(毎回そうか・・)。
    心温まる読後感で安心して読めるシリーズなので次の巻も楽しみです。

  • 前回読んだのでなんとなくまたこのシリーズを読んだ。読みやすくていいと思う。
    最後の最後に登場した肩を切られた大吉さんは、どうなったのかな・・・

  • 御用町日記2

    ネタ切れ感なのか、どうにも既視感は拭えないし、都合が良すぎる感。いや、そんなもんなのはわかっているが、昔の憂さはなくなっちゃったね?
    このシリーズ(前)で号泣したこともあったんだが、そんな雰囲気もなくなったのはみんな幸せになってるからかな?

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著者プロフィール

藤原緋沙子(ふじわらひさこ)
高知県生まれ。立命館大学文学部史学科卒。シナリオライターとして活躍する傍ら、小松左京主催の「創翔塾」で小説を志す。2013年に「隅田川御用帳」シリーズで第2回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を受賞。本書は土佐の絵師として人々の幸せを願い描き続けた金蔵の生涯を温かい眼差しで活写した渾身の時代小説。著者の作家生活20周年記念作品である。著書に「橋廻り同心・平七郎控」シリーズ(祥伝社文庫)他多数。

「2023年 『絵師金蔵 赤色浄土』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤原緋沙子の作品

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