「ツ、イ、ラ、ク」のスピンオフにあたる、短編集。
「ツ、イ、ラ、ク」では当然のことながら恋に墜ちた二人に焦点が当てられているので、その二人が特別であったかのように記憶に刻み込まれますが、この短編集を読むと、彼らの周囲にいた人々にもその人達の個性があり、それぞれ異なる考え方があり、それぞれ異なる視点で、彼ら二人を見ていたことを知ります。
現実に照らし合わせれば、当然なのですが。
長命中学校と何らかの関わりを持つ人々が時間を経て、当時の自分を振り返る。その時、「ツ、イ、ラ、ク」の主人公である二人のことも、記憶の一部として語られます。
主人公の二人の視点で描かれた作品もあります。
作品中にもあり、あとがきにもありますが、誰もが「とくべつ」であり「ひとりひとりその人にしかない個性で時間の中を生きている」ことを感じ入り、あとがきに、全く同じ事を意図して書かれた事を知り、著者に爽快な気分で白旗をあげました。
それにしても、この方の描く、墜落した恋には本当に気持ちのいい痛みを覚えます。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年10月3日
- 読了日 : 2022年10月3日
- 本棚登録日 : 2022年10月3日
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