同僚から借りた一冊。
何の知識も先入観もなく読み始めた上に、森見氏の作品を読むのが初めてだったので作風・文体に慣れるまで時間がかかりました。
京都を舞台に狸と天狗、人間が織り成す物語。
タイトルの「有頂天家族」は主人公である狸・矢三郎を含む下鴨家の狸達を指します。
偉大なる狸であった父が人間の手によって鍋にされた下鴨家と、因縁深い夷川家(やはり狸)、下鴨家の師匠である天狗・赤玉先生、赤玉先生によって人間から天狗になった美貌の持ち主・弁天、忘年会で狸を鍋にする習慣を持つ人間達。
なぜ同じ狸同士が争うのか、なぜ偉大なる狸が鍋にされたのか、、、
下鴨家の絆、阿呆さ、お茶目っぷり。
最後に全ての伏線がつながり、心地好い終わりを迎えます。
まさに「有頂天家族」。
面白かったです。
個人的に気に入ったのが森見氏独特の擬音語や擬態語。
「ぷつぷつ呟く」、「ぽてぽて歩く」など、様子が脳裏に浮かぶ表現が好きです。
こうした表現を含め、時折クスリとさせる絶妙さ、各登場人物をイメージさせる人物描写が素晴らしい。
文章でこういった表現が出来てこそ「作家」であり、小説を楽しむ醍醐味だと思っています。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
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- 感想投稿日 : 2022年10月15日
- 読了日 : 2022年10月15日
- 本棚登録日 : 2022年10月15日
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