夢みる宝石 (ハヤカワ文庫 SF ス 1-3)

  • 早川書房 (2006年2月1日発売)
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孤児院で育てられたホーティは眼に宝石を埋め込んだジャンキーと呼ぶ人形と常に一緒だった。8歳のある日、養父とのいざこざの最中、左手の指を3本失い、そのまま家を飛び出した。唯一の味方である同級生のケイに別れを告げトラックの荷台にもぐりこむと、そこにはすでに人がいた。そのトラックはカーニバル(移動見世物)のもので、ホーティはこのカーニバルの一員となる。

カーニバルのボスは人喰いとあだ名されるモネートルという男で、彼は医者であった過去の出来事が元で人間嫌いとなり、更には全人類を憎むようになる。ある時モネートルは細胞レベルまで完全に一致した二つの木を見つけた。これは近くにあった宝石の作用によるものであることがわかり、宝石についての研究を進める。

宝石は生きており、地球外から来たものと思われた。宝石が夢を見る時、近くにあるものの複製を作り出す。完全に複製することもあるが、不完全な場合もあり、この不完全な複製から小人や双頭の蛇などが作られた。

宝石の秘密を知ったモネートルは、宝石を支配し命令するための仲介者を探していた。仲介者の存在により宝石の能力を引き出し、全人類を支配する事ができる。その仲介者がホーティであり、ジャンキーの眼こそがホーティを生み出した宝石だった。ホーティを保護し、教え導いたカーニバルのジーナはホーティの正体をモネートルから隠し続けてきたが、ケイとホーティの養父の諍いからモネートルの知るところとなった。

ホーティとモネートルの精神的な戦いが始まり一時はモネートルが優位に立ったが、最終的にモネートルを殺してホーティが勝ちを収める。戦いの最中ジーナを誤って殺してしまったが、宝石を理解することで生きかえらせることに成功した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 1950年代
感想投稿日 : 2015年1月16日
読了日 : 2015年1月15日
本棚登録日 : 2015年1月13日

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