詩的私的ジャック (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1999年11月12日発売)
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本棚登録 : 8950
感想 : 658
4

S&Mシリーズ4作目。
今作は今までと少し違うテイスト多めかも。
でも面白い!

今作は特段、天才は出てこない。
なので、S&Mの知的な会話が存分に楽しめる…
かと思いきや、
犀川助教授が出張で不在となる期間が発生。
今までのシリーズではここまで
別行動する期間が長いのは無かったかも。

また萌絵が大人になりつつある、
というのが物語のあちこちでアピールされてる。
犀川が何度もそれを感じる場面もある。
萌絵が犀川のことを
別の見方から知りたいと思うようにもなる。

萌絵の友人がいろいろ出てきたのも新しい。
今まではちょっと出るくらいだったのに、
今作では物語全般を通して出てくる。

今まではただ2人の会話と
2人の共通の人間とのやりとりでしか、
2人のことを把握できなかった。
それが今作では
それぞれの友人との会話、
2人が揃っていないところでの振る舞いから、
2人の普段を知ることになる。

また天才が少なかったからか
いつもより会話や表現が易しい感じも。
言葉の大切さや男女の違いなどが、
凡人にも分かるレベルで語られてる。

今作で一番印象的なのは
夢と希望のくだりも良いけど
「酸化するというよりは、錆びるといった方が
ずいぶんロマンチックだろう?」
のシーン。
錆びるって全くロマンチックに思えないのに
こう言われるとマシかも…
と納得させられてしまう不思議。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年12月9日
読了日 : 2024年1月26日
本棚登録日 : 2023年12月8日

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