表題作「忍ぶ川」を含む7つの短編集である。「驢馬」の1編だけ満州人の留学生の差別を描いた作品で、他の6編は「忍ぶ川」に連なる作品と捉えてもいいのではないだろうか。
「忍ぶ川」は昭和初期の恋愛小説。不幸な過去を互いに持ちながらも出会い、果てに結ばれるという目新しいストーリーではないが、情景や心情が読み手に見事に投影されきて、胸が熱くなる。改めて微妙な加減を表す日本語の凄さと平明な言葉でここまで読み手に迫ってくる、三浦氏の文筆の素晴らしさを感じることができた作品だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
一般書
- 感想投稿日 : 2012年12月17日
- 読了日 : 2012年10月20日
- 本棚登録日 : 2012年1月18日
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