英国の富裕な役人の息子(3歳)が殺された。時はヴィクトリア時代、ところはカントリー・ハウス、被害者の母親はガヴァネスあがりの後妻で、今やその子供たちが冷遇されている亡き先妻には精神錯乱の噂が…。
どこの古典ミステリだ、というような舞台立てだが、これが小説ではないのである。本書は1860年に実際に起こった事件と、それを追った刑事たちの動きを描くノンフィクションなのだ。
重要なポイントとして、本件は「実際に起こった殺人事件」だが「未解決事件」ではない。キレイにオチがついて読者をスッキリさせる構成は、この手の本では珍しい。マニアにはそこが食い足りなかったりしなくもないのだが、一般読者には間違いなく、こちらのほうが親切だろう。
脱サラして私立探偵になっ(て最期には零落し)たり、花の栽培が趣味だったり、「怪しいお屋敷の住人たち」のみならず、刑事たちもキャラが立っている。フィクションのミステリは好きだが実録殺人ものにはあまりなじみがない、という向きにもおすすめ。
2017/3/18〜3/20読了
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
事件・事故・犯罪
- 感想投稿日 : 2017年3月21日
- 読了日 : 2017年3月20日
- 本棚登録日 : 2017年3月21日
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