ドリアン・グレイの肖像 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1962年5月2日発売)
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ゴシック小説第2ブームの代表作(最初のブームの代表作は「フランケンシュタイン」)。もうプロットが大天才なんじゃ...天才であると同時にかなりシンプルなんだけど、しかしその肉付けがモリモリモリ...いやあものすごいものをよんだなあ...!

「なにはともあれ有害な書物であった。あたかも香の強烈な匂いがこの本の頁にまとわりつき、頭脳を濁らせているかのようだった。」(p.247)この本もそうだと思う(笑)わたしにとっての新しい視点からの考え方をめちゃくちゃ吹き込まれた!でもそれが良いことなのかこの作品に関してはちょっぴりわからないのも事実(笑)

オスカーワイルドの逆説は奇抜で常識に囚われてなくてほんと「美!」って感じで好きだけど、深くまで共感できなくてよかったってちょっと安心する部分もあるから(笑)まさに、「かれのことばは華麗にして奇抜、そして無責任きわまりないものだった。」(p.88)

「言葉!ただの言葉!その言葉のおそろしさ!明晰さ、なまなましさ、残酷さ!」(p.45)この本の中の言葉たちに何度か殴られた気がする...そしてゾクゾクもした...言葉ってすごい。本当になまなましい。

「一生にまたとないロマンスなどとは言わないほうがいい。わが生涯における最初のロマンスとでも言うのだ。」(p.102)オスカーワイルドの言葉って、"まあたしかにそうかも...たしかに当たってる...けど!本気でそれ思ってるの?!ハァ...!?"ってなることが多いんだけど、この警句?は唯一素敵だなって思った。

これもすき。「部屋のなか、あるいは朝空のなかにふと認められた色合い、昔好きだったために、いまでも嗅ぐたびに妙なる思い出を匂わせる香水、かつて眼にふれたことのある忘れられた詩の一行、弾くことをやめてしまった曲の一節、いいかい、ドリアン、こういったものにこそ、人間の生活は左右されているのだ。」

「この世に存在する精美なるものの背後には、つねに悲劇的な要素が宿っている。一輪のみすぼらしい花が咲きいでるためにも、世界は陣痛を味わわねばならない。」(p.76)まあこれも真理よなあ...こういうのがゴロゴロある...!!

総じて、ヘンリー卿ほど美男子アイドルオタクに向いている人いないと心の底から思った(笑)

2カ月前くらいから、生まれてはじめてアイドルにハマっているけれど、アイドルって偶像崇拝だから、ぐるぐる考えてしまうタイプのわたしには難しいなあって悩んでいるところ。もしわたしがこの作品の世界に生きているなら、ドリアンを偶像崇拝して身を滅ぼすうちの1人だな。しかも本文にすら載れないカットされる。まちがいないな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年8月4日
読了日 : 2020年8月4日
本棚登録日 : 2020年7月31日

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