団地と移民 課題最先端「空間」の闘い

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  • KADOKAWA (2019年3月23日発売)
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団地の現状に取材したルポ。まちづくり、高齢化、多文化社会などを考えるきっかけになる。
60~70年代に日本各地に建てられた団地は、かつては最先端の暮らしの象徴であり、憧れの生活モデルだった。濃密なコミュニティがあった。しかし現在は建物の老朽化、住民の高齢化とともにコミュニティも弱体化し、孤独死が課題となっている。
一方で外国にルーツを持つ住民も増えて、世代と文化による断絶が生じている。中華系の多い芝園団地、残留孤児の住む広島基町、日系ブラジル人の住む保見団地。ヘイトを煽るデモや報道の一方で、現場では有志による文化交流などの努力が行われている。
第4章では移民が多く住むパリの団地の現状を伝える。住民運動「アソシアシオン」では、貧しい人への炊き出し等が行われる。慈善だけでなく、住民自身のアイデンティティ維持のための運動でもある。

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感想投稿日 : 2020年3月15日
読了日 : 2019年11月26日
本棚登録日 : 2019年10月6日

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