一応史実ということだが、かなり小説風に脚色されているし出典も無いのでエンターテイメントとして読むべし。という前提のうえで、面白い。
第二次世界大戦のイギリス軍で、マジックを応用して敵の目を欺くことに奮闘した人々の話。有名マジシャンをリーダーに、動物学教授、コソ泥、マンガ家、大工、軍人、画家で組まれたチーム「マジックギャング」…という設定が既にフィクション的。
こちらの戦力を誤認させるハリボテの戦車作り。重要な戦略拠点の港や運河を「消す」方法。周りに比較対象となるものが無い場合、模型の大きさが実物と違っていても、比率が正確ならば人間の目は騙されるそう。かと思えばわざと下手なカムフラージュを見せつけて裏をかく。
当然このやり方は諜報活動とも密に関わってくる。無線機を潰す、デタラメな地図をばらまくなどの情報戦もあわせて行われている。
エンターテイメントとして面白いが、この面白さは最終的に勝った側だからこそだろう。妙なもの(技術)を戦争に応用する試みは、たとえば日本の風船爆弾なども思い浮かぶが、仮にあれが大いに成果を挙げて戦争に勝っていたとしたらこういうエンターテイメントとして語られていただろう。逆にイギリスが敗者になっていたら、マジックギャングの試みは劣勢な軍の空しいあがきとして皮肉に語られただろう。
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- 感想投稿日 : 2017年11月20日
- 読了日 : 2017年11月19日
- 本棚登録日 : 2017年11月19日
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