反哲学史 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社 (2000年4月10日発売)
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 20世紀の、西洋哲学を解体する思想的立場=「反哲学」の立場から、その19世紀末までの歴史を述べた、哲学の案内書的書物。元々、筆者が中央大学の講義で用いたノートを基に書いただけあって、臨場感にあふれ、且つ簡にして要を得ており、大学時代に専攻していたものの遠く離れてしまった私のようなものにも、何だか懐かしくありつつもその大略が掴めるようになっていました。「自然(フュシス)」を対象としていた思考から、「制作物(テクネ)」(=「形相」=「物自体」)が分離しそれを中心とする思考へ、それがヘーゲルで完成を迎えたかと思われたら、その解体へ。壮大な「自然(フュシス)」への回帰の歴史という事なのかな、と思いました。
 あと、付け加えれば、自分が学生時代に難渋しながらも読んだ、カントの『純粋理性批判』の所が極めて分かり易く書かれていたのが、望外に嬉しかったです。改めて彼の他の書も久し振りに読んでみようかという気になりました。しかし、その前に、先ずこの書物の姉妹書の『現代の哲学』を改めて読んでみようと思っています(学生時代に少し授業で使用したので)。哲学の入門書としてお勧めです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学
感想投稿日 : 2017年10月26日
読了日 : 2017年10月24日
本棚登録日 : 2017年10月26日

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