あすなろ物語 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1958年12月2日発売)
3.59
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本棚登録 : 1881
感想 : 175

うーん。初・井上靖。
今まで出会ったことのないタイプの作家だなという感想。

「はじめての文学 宮本輝」のあとがきに出てきたから読んだ。「井上靖のあすなろ物語を読んで、人間真っ直ぐに生きなきゃいけない、卑怯じゃいけないな、と感じた」という宮本輝のエピソード。
この本を読んで特別そういう風な感想は覚えませんでした。

【2021.05.02.追記】
そういえば「明日はなろう」というコンセプト?らしいんだよな。でもなんか、ピンと来なかったんだよな。自分の読書力が未熟なせいもあるが、ピンと来ない理由として一個、時代の違いか。今が当時に比べてだいぶ複雑な時代になっているせいで、単純に「明日はなろう」じゃ済まない時代というか、そういう奮闘の仕方だけでは括れなくなっているような気がする。
ブクログを開いたらランキング一位の朝井リョウさんの名前が目に入って、そのあとなんとなく自分のレビューを遡っていて、ふとそんなことを考えました。
朝井リョウさんは『桐島』しか読んだことがないけど、それとこれを例えば並べてみたらもう全然違うじゃない。比べるにはナンセンスかもしれないけど、なんちゅーか、「とにかく勉強!努力!人間性を磨く!」みたいにゴールが単純なのがあすなろで、桐島みたいに何が正解かわかんないまま自分の正解を模索していく、人の目を気にしながら、っていうのと…後者の時代の人間は「本当にそれは檜なのか?」みたいな悩みを抱えて生きてる感じ。あ、そんな話じゃなかったらすいません。あすなろも桐島もうろ覚えで、あくまで喩え話ですよ、これは。
とにかく、「明日はなろう」と言われて素直に「自分も頑張ろう!」とはいかなかった、「そんな目指すものがはっきりしてて羨ましいです」みたいな捻くれた気持ちにちょっとなったよ。今ね。読んだ時はよくわからなかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年10月14日
読了日 : 2020年10月9日
本棚登録日 : 2020年10月9日

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