マティス、ドガ、ゼザンヌ、モネ…印象派の画家たちの物語。彼らも人間であり、絵の奥には人間として愛を求める姿や、家族や隣人たちを思いやり、心を通わす時間があったことをそれぞれの短編集から見ることができる。とにかくどれも美しい。本を読みすすめるほど、光と影の間を行き来して眩しさや、ひんやりとした冷たさを感じた。一番好きだったのは、「美しい墓」だった。ピカソとの交流があったことはあまり知らなかった。マティスが死に向かうまでの、マリアから見た語りが素敵だった。印象派は、大衆に受け入れられていくまでに、まずは目の前に生きる人々へ認められ、心を打つものでなければいけない。マリアはその目撃者の一人であったはず、その新鮮で、答えのない感じ方を、文章を通して追体験する。そんな物語だった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2020年5月5日
- 読了日 : 2020年5月5日
- 本棚登録日 : 2020年5月5日
みんなの感想をみる