月舟町にある月舟アパートメントの屋根裏に住む通称雨降り先生を中心に、古本屋の主人デニーロ親方、読書家である果物屋の青年、謎多き帽子屋の桜田さん、駆け出しの舞台女優・奈々津さんなど、つむじ風食堂に集う人々が紡ぐ、温かく少し不思議な物語。
取り立てて大きな事件は起こらない、終始穏やかな小説。描かれているのはたくさんの日々に埋もれそうな些細な一日の出来事だけど、話の流れが何だか不思議だったり、哲学的な言葉や思想が紛れていたり…淡いのにぴんと張りつめているような空気もある、独特な読み心地だった。
時折挟み込まれる、手品師のお父さんのエピソードがおもしろく、そのおもしろいところが切ないという、これまた独特な感じ。
これは文章の雰囲気によるものなのか、それとも内容やエピソードの組み込み方によるものなのか。
両方、かな。
怖くない寓話というか、穏やかな中に色んな教訓が隠されているような。
うまく言えないけれど(笑)癒やされながら読んだのに妙に心に残った。
既に映画化もされているらしいからそれも気になる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2015年12月14日
- 読了日 : 2015年12月14日
- 本棚登録日 : 2015年12月14日
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