ことり

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2012年11月7日発売)
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本棚登録 : 2081
感想 : 319
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「小鳥の小父さんが死んだ時、」から始まる物語。
お兄さんの言葉を理解できるのは、この世に小鳥の小父さんただ一人。
両親が亡くなった後、二人きりでつましく暮らす兄弟。
毎週水曜日にはポーポー(キャンディー)を買いに行くとか、お昼休みには職場から家に戻ってお兄さんとサンドイッチとスープの昼食をとるとか、夜には二人でラジオを聴くとか‥‥二人きりの小さな世界で、いつもと同じことを変わらずやり続ける、その小さな幸せ。
他人から見たら取るに足らないつまらない生活かもしれないけれど、同じことの繰り返しであるからこその小さくて静かな、いつまでも変わらぬことを願いたくなるそんな幸せ。
そんな生活の中に、兄弟それぞれの恋模様などもあって、なんだか透き通ってキラキラしている、だけど壊れやすいガラスのような物語だな、と思いました。
だけど、「小鳥の小父さんが死んだ時、」から読み始めた読者はこの後、どうなるかが分かっているわけで、常に物哀しさと共にあるキラキラなのです。
最後のページを読み終わったら、また最初のページに戻りたくなりました。小鳥の小父さんの腕の中にいた小鳥の様子をもう一度読みたくなりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年2月15日
読了日 : 2022年2月15日
本棚登録日 : 2022年2月15日

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コメント 4件

みどりのハイソックスさんのコメント
2022/02/16

ガラスのような

とても良い表現ですね。
壊れやすいをガラスに例えるなんて
私には全く思いつきませんでした。

こんな面白いレビューを書いてくださり、
ありがとうございます!

こっとんさんのコメント
2022/02/16

みどりのハイソックスの女さん、こんばんは。
コメントありがとうございます♪
お褒めの言葉、嬉しいです♪
私もいつも、みどりのハイソックスの女さんのレビューを読んで素敵だなぁ、と思ってます。
私もみどりのハイソックスの女さんと同じくらい若い時から読書をたくさんしておけば良かったなぁ、と後悔しています。
同じ本を読んでもその時の年齢や状況で感想は違うものになりますよね。
みどりのハイソックスの女さんの若々しい(←と言っちゃってるところが、おばさんくさい笑)レビュー、これからも楽しみにしています。

みどりのハイソックスさんのコメント
2022/02/17

そんな、そんな、ありがとうございます。

本当に年齢やその時の状況によって
感想が違いますよね。

一年生の時に読んだ「大きなかぶ」
今読んでみると違う感想が出てきました。
是非また、こっとんさんも読んでみてください。

こっとんさんのコメント
2022/02/18

確かに!
絵本などは特に、年齢によって感じ方が違いますよね。
また色々読んでみようかな、と思います。

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