伊吹有喜さんの作品はドラマチックでとても引き込まれます。
昭和十二年から二十年のお話。
戦中の女子‥‥いや、この物語の中では“乙女“ですね‥‥日本中の乙女を虜にした雑誌『乙女の友』。
美しい詩とそれに合わせた美しい絵。綺麗な附録もついてくる。乙女心をくすぐりますよね〜。
でも、貧しくなり雑誌を買うことができなくなった主人公の波津子。女学校にも行くことができず、職を探すことになるが、親戚がみつけてきた職場がなんと大好きな『乙女の友』の出版社!
憧れの作家や画家と一緒に仕事をするようになった波津子のトキメキや、周りのオシャレな女性たちに対する引け目、小学校しか出ていないことに対する惨めな思いなどがつぶさに描かれていて、とても感情移入できます。
でも、後半は戦況の悪化や、波津子の恋心など、雰囲気が変わってきます。
戦争の最中、一人の少女が大人の女性になってゆく成長物語。
伊吹有喜さんの作品って、なんだか品があるんだよなぁ。そしてドラマチック。好きです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年6月8日
- 読了日 : 2022年6月8日
- 本棚登録日 : 2022年6月8日
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