あかんべえ(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2006年12月22日発売)
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感想 : 287
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おもしろく、わかりやすく、緩急があって、勧善懲悪。伏線はきっちり回収され、もやもやが残らない。ぐいぐい引き込まれて、夢中で読みました。

読み終えても残ったのはこのセリフ
『どうしてあんたはお父とお母とに大事にされて、どうしてあたしは(中略)井戸にいなくちゃならなかった?』
上巻にでてくる、犬張子を欲しがった女の子を思い出した。
邪視の民間伝承は、世界の広範囲に分布する。
「どうしてあの子は就職できて、私は駄目だった?」
「どうしてあの子は子供ができて、私は駄目なの?」
「どうしてあの子はご飯が残せて、私は飢えているの?」
私達はうらやむことからも、うらやまれ(ともすれば憎まれる)ことからも、逃げられない。
毒にまではせずに生きていきたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: おもしろかった。
感想投稿日 : 2020年8月20日
読了日 : 2020年8月20日
本棚登録日 : 2020年8月20日

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