『私の兄は、本当の兄なのか?』
中国残留孤児を巡るミステリー。
本作の主人公は、69才の村上和久。
41才で全盲となり、やがて妻とも離婚し、一人娘・由香里とも確執があり、一人暮らしを続ける。
そして、孫娘・夏帆の腎臓病で移植手術を必要としたが、自分の腎臓は不適合に...
唯一の望みは、岩手県で老いた母と暮らす、たった1人の兄・竜彦であった。
竜彦は、幼少期に満州で一度生き別れになり、中国残留孤児として、やっと帰国した時は、既に、和久は盲目となった後であった。
そして、夏帆の腎臓病の事を兄に相談するも、臓器提供はおろか、適合検査さえ拒否する態度に、疑惑が目覚める。
『果たして、兄は、本当の兄なのか?』
『もしかして、兄を騙る偽物ではないか?』
そこから、本当の兄と名乗る男からの電話があったり、謎の点字の暗号が送られてきたり、などなど
様々な伏線があり、盲目の主人公の視点から、疑惑が疑惑を生み出す。
誰が嘘をつき、誰が本当の事を言っているのか?
真実の裏に隠された本当の真実とは?
最後の最後に、どんでん返しがありますが、それもこれも、家族の愛情の裏返しなのですね。
エピローグが、希望に満ちたもので良かったです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年9月22日
- 読了日 : 2019年9月22日
- 本棚登録日 : 2019年9月16日
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