地の星 なでし子物語: なでし子物語

著者 :
  • ポプラ社 (2017年9月21日発売)
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 以前読んだ「なでしこ物語」の続編。小学生だった耀子は、28歳。18歳で龍治と結婚し、一女の母になり、常夏荘の女主人「おあんさん」となっていた。
 えっ?そんなに早く結婚していたの?しかも立海と結婚すると思ってたのに龍治と?!とちょっとショックだった。
 峰生の有力者、遠藤家もバブル崩壊を経て、経済的に大変な状況に。代々、お高くとまっているはずの遠藤家のおあんさん、耀子も峰前の集落のスーパーで働き始める。だが、過疎化が進む集落で、そのスーパーさえも閉店の危機に。
 閉店にしてはいけない。アイデアを出せと、同年代の店長に発破をかけられて、お客様へのお弁当の配達や送迎、ミネパン(撫子の形のパン)、ミネシュー(シュークリーム)、ミネロール(ロールケーキ)など、独自の商品開発を仲間達と行い、それが成功する。
しかし、それでも閉店は免れないことに。
 自分たちの働く場所を失ってはいけないと、耀子はスーパーで開発してきた商品を売る会社を立ち上げる決意をする。そのためには、常夏荘の敷地を利用したい。耀子は事業計画書を書き上げ、常夏荘を売却しようとしていた、夫の龍治を説得し、資本金を集めるため、仲間に頭を下げる。
 
 「なでしこ物語」では、最初あんなに自分に自信がなかった耀子が、困難に立ち向かい自分の道を切り拓いていく、前向きな姿が頼もしかった。ずっと支えていたのは、子供の時、立海と一緒にお世話になっていた家庭教師の先生の「どうして私は出来ないの?ではなく、どうしたら出来るようになるか考えてごらん。」という言葉。
 閉店の危機にあるスーパーくらいしか働く場所がない所で一介の店員さんから、自分たちの働く場所を作る夢を追いかけて行動を始めた耀子。
 耀子は私と同じ歳。今の耀子に会ってみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年3月19日
読了日 : 2021年3月18日
本棚登録日 : 2021年3月18日

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