蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2019年4月10日発売)
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感想 : 95
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『夜のピクニック』で本屋大賞を受賞した、恩田陸。
久しく作品を読んでいませんでした。
 
この作品で再び本屋大賞を受賞し、さらに直木賞も受賞したということで、「どんな作品なんだろう」と興味を持ち、読むことにしました。
 
物語は、世界数カ国で行われている、ピアノのオーディション会場からスタートします。
過去にそのオーディションを通過したピアニストが、その後大きなコンクールで優勝したということで注目されているという状況。
そこで日本人らしき少年が演奏したら・・・という始まり。
 
コンクールに出場する、若いピアニスト。
そのコンクールの、審査員。
コンクールに関わる複数の人の視点で、描写されていきます。
 
10代後半から20代後半という、男女の若いピアニストたち。
国籍も様々ですが、コンクールまでの道のりにも、それぞれの個性が感じられます。
 
どんな人生を歩んできたのか、どんな思いで、このコンクールに出場しているのか。
コンクールでの彼らのパフォーマンスはどのようなものになるのか。
序盤から中盤にかけては、登場人物それぞれの物語に、ひき込まれました。
 
中盤以降は、ピアニストたちそれぞれは自らの力を発揮出来るのか?そして、コンクールを勝ち抜いていくのは誰なのか?
ドラマチックな展開に、息を詰めて、ページをめくりました。
 
ストーリーを追うのと並行して、以下のようなことを感じました。
・音楽から受けるイメージ、感情を、このように文章で表現できるのかという驚き
・言語に左右されない、音楽の世界のインターナショナル性の高さ
・音楽とは何か、音楽の世界の人たちは何を求めているのか
 
コンクールでの、登場人物たちのパフォーマンス。
一次二次とふるい落とされるという、残酷でわかりやすいルール。
そのような過酷な経験を乗り越えて、成長していく若者たち。
 
解説を読むと、取材そして執筆に、かなりのパワーをかけて創られた作品のようです。
その苦労が、この作品の厚みとなったのですね。
 
「また、この作家さんの作品を読んでいこう」と思わせてもらえた、魅力の詰まった作品でした。
 
『蜜蜂と遠雷(上)』
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/B07PZVXJRL
 
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2019年10月10日
読了日 : 2019年10月10日
本棚登録日 : 2019年10月10日

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