超圧縮 地球生物全史

  • ダイヤモンド社 (2022年8月30日発売)
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生物全般に関する知識を得たいと、関連する書籍を探しています。
難しい内容だと挫折してしまいそうなので、読み物として楽しめそうなものを選んでいた所、この本に出会いました。

地球上で繁栄した生物の変遷について、地球が誕生した46億年前から現在、さらには未来まで、時系列で12の章に分けて、解説しています。

第1章は地球の誕生、生命の誕生について。
「生命が誕生したのは、深海の高温水噴出口だった」という説が、現在では一般的なのですね。

第2章は、現在の主要な動物群のほぼ全てが誕生したという、約5億年前の「カンブリア爆発」について。
第3章は、脊椎動物の誕生について。
様々な動物が誕生し、その中の一系統が、現在のわれわれ人間などの脊椎動物につながっている、と理解しました。

第4章、第5章は、脊椎動物の陸上への進出について。
四本足というのは動物が陸上に上がってから出来た、と思っていたのですが、そうではなかったのですね。
陸上への進出については、植物と節足動物が先行し、その後に脊椎動物だったということも、しっかり認識しておきたいと思います。
そして、脊椎動物が陸上に進出してきたタイミングで(約2億6千年前)、地殻変動による大量絶滅が起こっていたということも、記憶に留めておきたいと思います。

第6章、第7章は、は虫類の多様化と、その中で圧倒的な存在となった恐竜について。
恐竜が二足歩行に適した体の構造を持っていたということは、本書に出会って初めて認識することができました。
また、呼吸の仕組みは哺乳類以上に、体温を調節するのに適していたこと、卵を産むという繁殖方法も、恐竜が繁栄した理由として挙げられていることも、印象に残りました。

第8章は、ほ乳類の繁栄について。
恐竜が絶滅した環境の中でなぜ、ほ乳類が繁栄したのか、はっきりとは分からなかったのですが、恐竜絶滅時には現在以上に、バラエティーに富んだほ乳類がいたのですね。
咀嚼できること、夜から朝にかけて活動できることが、恐竜とのすみ分けに寄与した、と理解しました。

第9章から第11章は、われわれ人類につながる類人猿の進化について。
人間の二足歩行はかなり、身体にとって無理がある動きだということ、そしてなぜ二足歩行をするようになったか、説得力のある説明がまだないということが、印象に残りました。
また、人類がどのように世界中に広まっていったかについて、あやふやに理解していたのですが、第10章、第11章を読んでようやく、時系列で頭の中を整理することができました。

第12章は、人類および地球の未来について。
人間が絶滅するとしたら、その時の地球はどのような状況になっているのだろう?と、考えさせてもらいました。

全体を通じて、まずは時間軸のスケールの大きさに、圧倒されました。
しかし個々の説明がおおざっぱという印象はなく、専門的だなあと感じる部分もありました。

とはいえ難解すぎるということもなく、地球という惑星で生物がどのように誕生し、その中で、われわれ人類につながる系統がどのように進化してきたのかという流れで説明されているので、素人の自分にも理解することができました。

”生命全体の歴史”という内容を期待して読むと、たとえば植物や鳥類がどのように進化してきたかなどは、要点が説明されているレベル、というところかと思います。
億年単位という時間軸で考える、という視点の面白さを教えてもらったので、自分が興味のある生物の進化について、同じように解説している書籍がないか、探して読んでみたいと思います。
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: サイエンス
感想投稿日 : 2024年1月15日
読了日 : 2024年1月15日
本棚登録日 : 2024年1月15日

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