ルーズな身体とオトナの事情 (幻冬舎ルチル文庫)

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  • 幻冬舎コミックス (2005年9月15日発売)
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感想 : 3
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●あらすじ●</br></br>
旧家の次男、奥澤悠加は大学生。念願の一人暮らしを始めるはずだったのだが、十歳年上のお目付役山科崇之と暮らすことに。何かと厳しい崇之に、コンパは邪魔され家の中のことはしごかれる始末。ある日、無断外泊を叱られキレた悠加だったが、逆に崇之が身体に触れたりセクハラを!?その状況に慣れつつ戸惑う悠加は、やがて崇之への気持ちに気づき・・・・・・。</br></br>

●感想●</br></br>
あらすじから、主従関係ものなのかな〜と思いつつ読みましたが・・・・・・どこかおかしい。
お坊ちゃんのお家騒動のゴタゴタした話かな〜とも思ったんですが、こちらも結構アッサリ・サッパリ片づいて・・・・・・。
<blockquote>
「・・・・・・これ女性ものですね」</br>
くん、と崇之が鼻を鳴らした。彼の高い鼻梁が、撫であげるように首筋を掠める。このところの状況のせいで過剰になっている神経が、びくりと震える。</br>
「なん、・・・だよ」</br>
「香水。しっかり移ってます」</br>
女性ものの香水がうつるようなことはなにもしていない、と、悠加は眉を顰めかけ、そういえばと思い出した。おそらく、かけてもらっていたタオルケットからでも移ったのだろう。</br>
あれは亜佐美のものだ。身につけていた(かどうかは知らないが)香水が移ったとしても不思議はない。</br>
「へええ、そうなんだ」</br>
動物じゃあるまいし、匂いなんて嗅ぐな。</br>
「いいご身分ですね。俺は寝ずに待っていたってのに」</br>
だいたい、鼻を近づけただけで香水の移り香から、それを女性ものだと断定してしまうこと自体、崇之が場数を踏んでいる証拠だろう。</br>
自分は遊んでいるくせに、悠加にだけ禁欲を強制して。そのくせ、ただ面白いという理由だけで、悠加に触れ、その反応を揶揄う。</br>
いったい崇之はなにが目的なのか。</br>こんなところで四年間も、悠加と共に暮らさなきゃならない憂さ晴らしだろうか。
</blockquote>
違和感を感じたのは、崇之の話し方。丁寧な時と悠加を見下したような砕けた話かたの時があって崇之自身が解りづらかった。崇之が悠加のことを好きだっていうのは初めから隠さず現していましたが、当の悠加が全く気づかなかっただけで。</br>
悠加にしても初めから崇之が凄く好き!って訳でもなく、次第にって事なんだろうけど決定打が無く気が付いたら好きになってたのかよく分からない・・・・・・。
<blockquote>
・・・・・・でも、ちょっと待てよと思う。</br>
(許可なしに、ってことは許可すると思ってんのか)</br>
というかそもそもその言いざまは狡い上に、なんだか問題をすり替えてはいないだろうか。しばし考えたのち、悠加の耳にふと、南森の声が蘇った。</br>
『どうせ四年間縁が切れないなら、開き直るのもありってこと』</br>
そうだ。あちらからやられっぱなしでいるからびくびくするんじゃないだろうか。もういっそこちらから押してしまえば、無意味な怯えは払拭されるのではないか。</br>
いい加減、数日考えこみすぎて煮えきった頭で、悠加の出した答えは、そんな安直なものだった。</br>
「じゃあ。交換条件を出していい?」</br>
「どうぞ。なにを?」</br>
悠加は唇をきゅっと噛み、まっすぐに崇之を見た。睨むような眼差しで、一時たりとも逸らさない。
自分がなにを言おうとしているのかと、悠加は自覚している。ひどく緊張して喉が渇き、唾液を嚥下した。
この結果がどうなるか、それはわからない。ただ、このままでいるよりは多分、マシだ。</br>
「・・・・・・俺にも触らせろ」</br>
悠加が言った途端、崇之は目を瞠り、悠加を凝視した。
</blockquote>
結局、崇之は悠加の側にいて他人に奪われないように守るためだけに付いてきて、ソコには主従関係や家のしがらみなんかも全く無くて・・・・・・。久司と崇之の「悠加には一切、危害を加えない」という契約だけなら、崇之の態度にしても納得できないことが多くて。全体的に中途半端な感じがしました。崇之が悠加の友人・創にヤキモチを妬いたりしてましたが、創には全く下心が見えなかったし・・・バイだと言っておきながら、悠加には触手が動かないとか言ってるし。逆に、ちょっと横槍入れて欲しい気持ちがあったのですが・・・。崇之の悠加に対する独占欲の強さにはちょっと可愛そうかもね〜と思いつつ。相当束縛しそうじゃないですか崇之。コンパは駄目、親友にヤキモチを妬く、行動をチェックする・・・今後可哀想だよ絶対。今のところ悠加は崇之が何もかも初めてで逆上せちゃってるっぽいですが、そのうち息詰まるって。
悠加の方も、一言で言えば普通の子。常識を外れた突飛なことはできない、と崇之も見切ってますが反抗したり、家出したり出来ない子。家のことも、崇之のことも流されるがまま。---その辺がタイトルのルーズな身体なのかな。黙っていれば家を継がなくてもいいんでしょ、って約束の20歳を待ってる。全てが受け身の子。大人しいわけでもないのだけど、見てて苛々する子だな〜。自分で考えて答えを見つけようとしないのね、すべてがどうにかなるさ〜って感じで。私はこういう子の方が苦手です。ウジウジしてても考えて進んでいく子の方が好きなんで、流されちゃう子は駄目。</br>
崇之との関係も全て受け身だし。確かに最初に崇之はマグロになってなさい、とは言ったけど・・・回数多かった割に結局最後までマグロだったような。なんだか健気に一生懸命崇之だけが尽くしているようで・・・・・・崇之は悠加が自分の元にあるだけでいいような盲目的な感じもあるんでそれでもいいのかも。回数多い割にときめかないというか、悠加に可愛げとか色気がないんですよ。だからこそ逆視点で崇之側の心情を覗いてみたかったな。きっとヘタレに近いほどメロメロなんだろうなぁ〜。余裕顔とは対照的に内心は悠加にハラハラしどうしなんだろうな〜と思うと可笑しいですね---その辺がオトナの事情なのかな。

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カテゴリ: ルチル文庫
感想投稿日 : 2005年10月6日
本棚登録日 : 2005年10月6日

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