冷血(上)

著者 :
  • 毎日新聞社 (2012年11月29日発売)
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本棚登録 : 1175
感想 : 146

第一部は三者の視点で語られる。
多感な少女と、何かが麻痺している若い男二人。

どちらも互いの人生が交錯することなど想像もしていない。いや、上流家庭の少女にとって「不良」とはせいぜい大人ぶった同級生くらいで、本当に刑務所を出た男のことなど認識の外だろうし、底辺の男たちにとっても実際の上流家庭は「階層が違う」世界の話である。

読者には両者が事件の「被害者」と「加害者」として遭遇するとすぐにわかるのだが、初めは何も考えていなかった加害者が「偶然」被害者を認識し、不幸な結末へのカウントダウンが刻々と進んでいく緊張感が息苦しい。

事件は第二部で決着したように見えるが、下巻がある。
何が出てくるのか、事件に対してぼんやりと抱いている安堵感が根底から崩壊させられる不安感しかないのだが、読みたくないのに読まざるを得ない気持ちになっている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年11月3日
読了日 : 2019年11月2日
本棚登録日 : 2019年10月28日

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