数学の世界 (中公文庫 も 32-2)

著者 :
  • 中央公論新社 (2022年4月20日発売)
3.13
  • (0)
  • (5)
  • (8)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 267
感想 : 6
4

【書誌情報】
『数学の世界』
著者:森 毅[もり・つよし]
著者:竹内 啓[たけうち・けい]
解説:読書猿[どくしょざる]
出版社:中央公論新社
刊行日:2022/4/20
判型:文庫判
頁数:352
定価:1056円(10%税込)
ISBN:978-4-12-207201-5

教育者でもある数学者と、数学の社会的役割に注目する統計学者による対談から、人間の文化を豊かにする数学の多面的な魅力が浮かび上がる。
https://www.chuko.co.jp/bunko/2022/04/207201.html


【目次】
はしがき(1973年2月 竹内啓) [003-005]
目次 [006-007]
用語解説 [008]


第1部 数学の世界を獲得する 011

第01章 数学と論理 012
01.1 数学がつねに正しいと思うのは誤解
01.2 個体の認識が数学的論理の出発点
01.3 数の認識は牧畜にはじまる?
01.4 類の認識――実体・属性二元論の落とし穴
01.5 内包で了解し、外延で定式化する。外延で押し通す集合教育への批判
[集合]
01.6 類で考えるか、関係で考えるか?
[写像と関係]
01.7 発生形態と最終形態のちがいが教育上の悩み
[順序]
01.8 集合論はいつ有効性を発揮するのか?

第02章 基数・序数・自然数 047
02.1 数え主義はなぜよくないか?
[自然数]
[無限集合]
02.2 一対一対応とはなにか?
02.3 序数と日常レベルでの順序
02.4 ペアノ式公理は過大評価されている
[ペアノ式公理系]

第03章 たす・ひく・かける・わる 075
03.1 寄せ算と足し算のちがいは本質的
[加減]
03.2 すべてわかってしまう子どもはアテにならない
03.3 差法は減法と区別しなければならない
03.4 マイナスは差法から出てくる
03.5 十進法は便宜的なものにすぎないが、それなりのよさもある
03.6 2×5と5×2は区別しなければいけないか?
[乗除]
03.7 なぜ複比例はむずしいか?
03.8 分数と比はどう考え方がちがうか?
[分数]

第04章 連続量と実数 110
04.1 量と量まがいのものの区別に気をつけよう
04.2 原子化と連続量のイメージ
04.3 連続量と実数をどう結びつけるか?――√2の場合
[実数の定義]
04.4 分数の世界と小数の世界
04.5 曲線の長さは果たして量か?――πをめぐって
04.6 近似は現実の法則の認識として重要である
04.7 近代的な極限概念は近似と強く結びついている

第05章 関数 141
05.1 集合から出発する関数は概念には2つの欠陥がある
[極限]
05.2 関数を一つの[もの]として考える
[線形代数]
05.3 ベクトル――異質のものを一まとめにすることの意味
05.4 無理に1変数にすると、かえって理解しにくくなる
05.5 連立一次方程式の問題は双対性を背景に持つ
[双対性]
05.6 解析学と線形代数の両面が必要なのだが...
05.7 空間的微積分と時間的微積分と

第06章 代数系 173
06.1 不自然な例を出して代数系を考える不自然さ
[代数系]
06.2 反自然主義としての代数系
[ブール束]

  第2部 数学の世界をふりかえる 187
第07章 ギリシャ――数学の世界の誕生 188
07.1 セクト間闘争が論理を育てた
[ユークリッド『原論』]
07.2 イデオロギーの象徴として手ごろだった幾何学
07.3 人類史上の文化大革命を前提として
07.4 ヘンなことを考えるヘンな人間がいないと新しいものは出てこない
07.5 ギリシャの滅び方のおそろしさ

第08章 イスラム――代数の発達 210
08.1 ハウ・ツウという発想で解法を一般化
08.2 SFとしての文学式中国起源説

第09章 16・17世紀――数学の世界の大展開 216
09.1 数の普遍化(量化)が完成する
09.2 空間も量化された
09.3 変化そのものを法則としてとらえる
[デカルト『幾何学』]
09.4 奇跡的な100年
[ニュートン『自然哲学の数学原理』]
09.5 開明主義者であることは?

第10章 18世紀――偉大な職人の世紀 235
10.1 ニュートンを導きの星として
10.2 本質を見抜く力を持った職人、オイラー
10.3 百科全書派の本領を発揮したダランベール
10.4 確率論の基礎をきずいたヤコブ・ベルヌーイ
10.5 関数の概念が確立していった歴史
[大数法則]

第11章 十九世紀――専門家の時代 250
11.1 理論体系主義と専門家主義
11.2 再び数学の象徴機能について

第12章 現代――構造解明の数学 259
12.1 集合論誕生の背景
12.2 数理哲学的公理主義から構造主義的公理主義へ
12.3 了解可能性としての数理科学
12.4 了解の内容の豊かさが問題
12.5 現代の関数解析
12.6 うそから出たまこと

  第3部 数学の世界を楽しむ 287

13.1 メメシク数学を楽しみたくて...
13.2 職業としての数学者
13.3 「遊びとしての数学」を伝えたい気持ち
13.4 数学の[よさ]は、生活をデザインするときの中身の豊かさにつながる
13.5 乱雑と組織化の両立という奇妙な状態にある教育
13.6 わかるということには不思議なところがある
13.7 「35歳からの数学」の提唱
13.8 「絶対試験をしない数学」

あとがき(1973年2月 森毅) [323-324]
文庫版へのあとがき(2022年3月 竹内啓) [325-328]
解説(読書猿) [329-342]

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 410.数学
感想投稿日 : 2022年3月6日
読了日 : 2022年6月21日
本棚登録日 : 2022年3月6日

みんなの感想をみる

ツイートする