私探しゲーム 増補 (ちくま学芸文庫 う 1-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (1992年6月1日発売)
3.19
  • (3)
  • (9)
  • (29)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 243
感想 : 15
2

著者:上野 千鶴子
解説:鶴見 俊輔
カバー装画:D. K. ウラヂ
内容:80年代の時事評論・社会学系の雑文まとめ。
感想:文体は仰々しいが、(本文の途中で論文を引っ張ったりしているが、なにしろ雑なので)学術性は皆無。というわけで、妄想系の随筆集として気楽に楽しみください。
注意:これは社会学ではありません!

【簡易目次】
序 「近代」の野辺送り 009
I ポストモダンの波頭 
II 差別化の商品学 
III 〈私〉探しゲーム 
IV 消費社会前史 
V 女たちの欲望 
VI 百貨店――都市空間の記号学 
VII 大衆社会の変貌 
VIII トレンドごっこ 

あとがき
増補文庫版へのあとがき
解説


【初出一覧】
「近代」の野辺送り  書き下ろし
世紀末ウォッチング  『中日新聞」一九八五・二・二〜二九
“お嬢さま”ブーム  『現代」一九八六・七
くらしのカタログ  『京都新聞」一九八一・一○・二九
商品――差別化の悪夢  『現代思想』一九八二・五
個性神話のパラドックス  『商店建築』一九八三・四
「見せる私」から「見られる私」へ――インテリアの社会学  『朝日新聞」一九八二・六・一四
流行の運命――衣裳の社会学  『is』一九八三・三 No. 20
ハレ・ケ・スキ ―― ファッション考現学  『思想の科学』 一九八二・一〇
戦後欲望外史――高度成長を支えた私民たち  『思想の科学」 一九八一・一二
女性誌ニュージャーナリズムの同世代史  『朝日ジャーナ 一九八四・二・二三
ロマンチックラブ・イデオロギーの解体  『is』一九八六・六 No. 32
快楽という通貨  『季刊文芸クリティーク」一九八六・四
ステージとしての百貨店――「見世」の文化史  『季刊ブックレビュー』一九八二・八 No. 2
百貨店の記号学  『広告』一九八〇・二・一二 No. 223
燗熟大衆社会の民主主義  『朝日ジャーナル」一九八四・一・六
ポスト大衆社会論の構図  『毎日新聞』一九八六・一〇・二四、二五
トレンドごっこ  『日経トレンディ』一九八八・三〜一九九一・三

【筑摩書房によるPR文】
 “CM、ファッション、不倫、目立ちたがり症候群etc.―同時代のシャーマンたらんとする著者が、いわば「脱近代の波頭」をとらえて、差異化する商品の意味、アイデンティティの変質など、その根底にある時代の変動を浮かびあがらせる。卓抜な世紀末ウォッチング。その後のトレンドに潜む、新しい時代のうねりを分析した「トレンドごっこ」の章を新たに増補。”
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480080059/


【目次】
目次 [003-006]

序 「近代」の野辺送り 009
「近代」に引導を渡すために 010
  時代の転換期
  常識のスクラップ化
  アイデンティティの解体

I ポストモダンの波頭
世紀末ウォッチング 020
  食糧危機 1985・11・18
  酎ハイ 1985・11・14
  コーラ戦争 1985・11・15
  男のピンク 1985・11・28
  血液型 1985・11・13
  “お嬢さま”ブーム 1986・7
  ロマンス本 1985・11・19
  不倫 1985・11・20
  母子姦 1985・11・21
  人気者 1985・11・25
  公私混乱 1985・11・26
  恥の文化再再考 1985・11・12
  脱サラ農民 1985・11・27
  関西人ぶりっこ 1985・11・22
  ホモとヘテロ 1985・11・29

II 差別化の商品学
くらしのカタログ 060

商品――差別化の悪夢 062
  商品のサンタグムとパラディグム
  商品――欲望の解発装置
  不可視の生産
  差別化の戦略――垂直から水平へ
  商品を介するコミュニタス
  悪夢の選択

III 〈私〉探しゲーム
個性神話のパラドックス 090

「見せる私」から「見られる私」へ――インテリアの社会学 096

流行の運命――衣裳の社会学 100
  ファッションという記号
  流行現象――境界性の創造と陳侭化
  イノベーションの定同進化性
ハレ・ケ・スキ ―― ファッション考現学 108
  自己表現と画一性
  流行という強制力
  自己表現の大衆化
  着更える落差
  カジュアル化の進行
  制服のない不自由
  第三空間の拡大
  〈私〉探しゲーム

IV 消費社会前史
戦後欲望外史――高度成長を支えた私民たち 126
  ベッド――「性」の自己主張
  DK ――「食」の拡張
  LDK ――接客空間の喪失
  TV ―― TVという「父権」
  マイカー ――私空間の出前
  マイホームからマイトームへ――死後の家族主義
女性誌ニュージャーナリズムの同世代史 142
  『アンアン』の衝撃力
  消費社会のミーイズム
  ニューファミリー現象
  雑誌文化と「民主主義」

表IV- 1 同世代年表

V 女たちの欲望
ロマンチックラブ・イデオロギーの解体 156
  愛‐性‐結婚のトリニティ
  「ヘテロでモノガマスな性」からの解放
  ホモ対ヘテロ
  モノガミイ対ノンモノガミイ
  ヘテロでモノガマスなつがいの不自然さ

快楽という通貨 168
  セクシユアリティの変貌
  セクシユアリティの近代とその終末
  〈快楽商品〉の背理
  快楽という通貨

図V- 1 ロマンチックラブ・イデオロギーの三位一体
図V- 2 どちらがベッドに誘うか(Blumstein & Schwartz, 1993〔南博訳『アメリカン・カップルズ』白水社、一九八五年〕p.207)
図V- 3 ノンモノガミイの実例(Blumstein & Schwartz, 1993, p.273)
図V- 4
図V- 5

VI 百貨店――都市空間の記号学
ステージとしての百貨店――「見世」の文化史 182
  見世ものとしての百貨店
  大衆社会化のなかの百貨店
  ひろばとしての百貨店
百貨店の記号学 191
  「百貨店の記号」の視覚
  記号学のモデル/都心空間のコミュニケーション
  できごととしての百貨店
  〈エンコーダーのモデル〉
  〈デコーダーのモデル〉
  〈観察者のモデル〉
  できごとから構造への帰還

表VI-1 街の魅力(日本経済新聞社 編『消費者は変わった』1975. より)
図VI- 1
図VI- 2
図VI- 3

VII 大衆社会の変貌
燗熟大衆社会の民主主義 206

ポスト大衆社会論の構図 216

VIII トレンドごっこ 226
  現代人のナルシシズムが「関心」産業をはやらす 1988.3
  世紀末の情報財ディスコに群がる若者が地価を上げる 1988.4
  「アフター5」から「アフター55」への軟着陸を 1988.5
  対面式キッチンで主婦は家族支配を完成する 1988.6
  みんな「トレンディ」しちゃう―― 一億総マーケッター時代 1988.7
  売れるなら私生活まで売るCMもどきの明るい表現者達 1988.8
  円高ミュージシャン、ロンドン・フィルをカラオケにした 1988.9
  女・子どもの国民的論争に終始沈黙を守った男たち 1988.10
  二次元世界のTV電話よりマイナス1のコミュニケーション 1988.11
  脱がされたい女心の反映か、シルク・ランジェリー・ブーム 1988.12
  「生活」と「文化」に目を向ける企業シンクタンク・ブーム 1989.1
  中立の看板の裏で“黒子”が支配する「メディアの戦争」 1989.2
  情報をDCブランド化する「トレンディ・キー・パーソン」 1989.3
  「生前後家楽」を満喫する主婦貴族の「女遊び」 1989.4
  企業内教育を商品化した企業立大学の陰謀〔アイデア〕 1989.5
  農業リッチ時代を予感する農大経営のニューウエイブ 1989.6
  全共闘世代の怨念から切れたポジティブな知性がウケる 1989.7
  街に高所得者層を呼び戻したGentrificationの光と影 1989.7
  一昔前なら「結婚」に逃げたOLたちの「海外留学」熱 1989.8
  オジサンが淘汰されるオバタリアンの時代 1989.9
  企業PR誌縞集者が自主規制、見えない“検閲制度” 1989.10
  洋式便器をめぐる日米論争、「学校便秘症」でケッ着? 1989.11
  買い手がつくか中之島改造案、頼まれぬ仕事をする安藤忠雄 1989.12
  「赤ちゃん少産時代」に突入、親や祖父母が子供をペット化 1990.1
  シティホテルの建設ラッシュ、慶弔両端のハレ需要にマッチ 1990.2
  新・改築ブームの前面に立つ女たちのエネルギーの蕩尽 1990.3
  レンタル・ドレスが加速する謝恩会の「目立ちたがり」衣装 1990.4
  首都圏家付き娘のHanako族、結婚後も恵まれたライフコース 1990.5
  都市ノマッド(遊牧民)の繋留点、携帯電請が空間感覚を変える 1990.6
  女の“あがり”は「玉の輿結婚」、昔も今も日本人は結婚好き 1990.7
  企業活動を自分の「作品」にしたドゥ・ハウス経営者、小野貴邦氏 1990.8
  主婦と団塊ジュニアに共通の仕事イコール遊びの年金生活 1990.9
  押しつけでライバルを育てるアメリカン・リベラリズム 1990.10
  米国で働く女性MBA保持者、企業の性差別が招く頭脳流出 1990.11
  フルタイム生産男の時代終わる。パート生産/パート消費男へ 1990.12
  情報ハンドリング用の装置系、インテリジェントホーム 1991.1
  ポスト新人類の団塊ジュニアがモノ語り時代の後に作る九○年代 1991.2
  モノからコト、イメージへ。ついに知性までトレンド消費財 1991.3

あとがき(一九八六年一二月 京都にて 上野千鶴子) [315-317]
増補文庫版へのあとがき(一九九二年四月 京都にて 上野千鶴子) [318-320]
解説(鶴見俊輔) [321-327]
初出一覧 [328-329]

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 367.家・性・老
感想投稿日 : 2019年12月9日
読了日 : 2019年12月9日
本棚登録日 : 2016年6月27日

みんなの感想をみる

ツイートする