アフリカ文学講義――植民地文学から世界‐文学へ

  • みすず書房 (2022年1月19日発売)
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【書誌情報】
『アフリカ文学講義――植民地文学から世界‐文学へ』
原題:HUIT LEÇONS SUR L’AFRIQUE
著者:Alain Mabanckou(1966-)
訳者:中村隆之
訳者:福島亮
判型:四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数:280頁
定価:4,950円 (本体:4,500円)
ISBN:978-4-622-09067-0
Cコード:C1098
発行日:2022年1月17日

016年、フランスのコレージュ・ド・フランス芸術創造講座で行われた「アフリカにかんする8つの講義」。ヨーロッパ人の見たアフリカ史から説き起こし、植民地期、ポストコロニアル期、パリ郊外に住む移民が生んだ文学まで、1920年以後のブラック・アフリカ文学の全体像をわかりやすく、かつ「内戦と子ども兵」「ルワンダ・ジェノサイド以後に書くこと」など、文学を超え、現代史や思想、社会問題にも広がる視野をもつ類ない文学史である。
フランス語圏ブラック・アフリカの作家は、カリブ海やアメリカの黒人文学作家とパリでどのように出会い、みずからの文学を築き上げていったか。フランス文学という「国民文学」からも、アフリカ諸言語で執筆する正統的「国民文学」からも除外されてきた「フランス語圏文学」は、いかにしてグローバルな認識に立つフランス語表現文学として、「世界‐文学」に連なることができるのか。本書に盛り込まれた著者のメッセージは、1530年の創設以来、名だたる哲学者や文学者を迎えてきたフランスの知の殿堂で「アフリカ人」として初めて講義したこと自体の意味も併せ、今後の文学と世界を考えるひとつの指針となるだろう。
著者アラン・マバンクは1966年コンゴ共和国生まれ。『割れたグラス』『ヤマアラシの回想』はじめ、作家としてフランス語で多くの作品を発表し数々の賞も受賞、2006年以来カリフォルニア大学ロサンゼルス校で教えている。
日本ではほとんど知られていないアフリカ文学の歴史を知るために、世界文学の今後を考えるために、ここにおくる。
https://www.msz.co.jp/book/detail/09067/

【目次】
まえがき

第一講 黒人文芸――闇から光へ 2016年3月17日
第二講 ネグリチュードとは何か 2016年3月29日
第三講 アフリカ文学のいくつかのテーマ系について 2016年4月5日
第四講 フランスにおけるアフリカ文学の出版について 2016年4月12日
第五講 国民文学と政治的デマゴギー 2016年4月19日
第六講 アフリカと「黒いフランス」が歴史に直面する時 2016年5月10日
第七講 ブラック・アフリカにおける内戦と子ども兵 2016年5月17日
第八講 ルワンダ・ジェノサイド以後に書くこと 2016年5月24日

後日譚
フランス共和国大統領への公開書簡 2018年1月15日
黒人部隊慰霊碑に捧げる演説 ランス、2018年11月6日

原注
訳者あとがき
アフリカ文学読書案内
人名索引

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 990.その他の諸言語文学
感想投稿日 : 2022年1月20日
読了日 : 2022年1月20日
本棚登録日 : 2021年12月22日

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