姫は、三十一 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2011年12月22日発売)
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本棚登録 : 238
感想 : 37
4

『妻は、くノ一』のスピンオフ、という位置づけでいいのかな。
雙星彦馬について語られるくだりなどから察するに
彦馬と織江が平戸からオランダに向けて旅立った直後の話らしい。
蛇の巻とは違う方向のスピンオフみたい。

今で言う新宿二丁目的な飲み屋が出てきたり、
大名家の姫が夜な夜な飲み歩いていたり、
江戸後期の物語の設定としてはだいぶぶっ飛んでいる。
序盤に出てくる史料に関する講釈(?)を言い訳と取るか否かは読む人次第だろうが
わざわざ断っているのがなんとなく可笑しかった。

大概の設定がぶっ飛んでいるのだが、
その中でも群を抜くのが静湖姫の人物像だと思う。
女性としては革新的な考え方とか、お転婆なところとかは
喩えが旧くて難だが『はいからさんが通る』の紅緒に似ているような。
静湖姫の魅力も紅緒と被る感じがするので
これだけの人数にモテるのもまぁ判らないでもない。

内容としては『妻は、くノ一』から本筋を抜いた、というか
彦馬が江戸でやっていたようなことを静湖姫がやってる、という感じ。
深刻な部分が抜かれているので、軽く読むにはちょうどいいかも。

静湖姫と関わる男たちが悉く彼女に惚れてしまうのに
いちばん近くにいる岡田だけがそうならないのが逆に面白い。
とはいえ、最終的にはこのふたりがくっつくような気がするんだけど(笑)。

くノ一シリーズから引き継がれたキャラクターは
静湖姫、松浦静山と伝聞で出てくる彦馬と雁二郎のみ。
同じ北町奉行所管内なので原田朔之助が出てくるのを期待していたのだが
そうは問屋が卸さなかったらしい。ちょっと残念。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2013年8月25日
読了日 : 2013年8月22日
本棚登録日 : 2013年8月22日

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