とんび (角川文庫 し 29-7)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年10月25日発売)
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心震えるハートフルストーリ!
号泣とまではいきませんでしたが、ところどころ、鼻の奥がツーンと来てしまいます!

ストーリとしては、
不器用な頑固者のヤスさん。
そのヤスさんと美佐子さんの間に生まれた待望の息子アキラ。幸せな生活を送る三人に悲劇が..
それを乗り越え、アキラの成長、ヤスさんの父親としての成長、そして、周りの方々の暖かい援助の物語

なんとも、ぐっと来たところが
その1
海雲和尚が幼いアキラへ、母親がいなくても周りの人間が支えていることを伝える台詞

「アキラ、おまえにはお母ちゃんはおらん。背中はずうっと寒いままじゃ。お父ちゃんがどげん一所懸命抱いてくれても、背中までは抱ききれん。その寒さを背負ういうことが、アキラにとっての生きるいうことなんじゃ」

「アキラ、おまえはお母ちゃんがおらん。ほいでも、背中が寒うてかなわんときは、こげんして、みんなで温めたやる。おまえが風邪をひかんように、みんなで、背中を温めちゃる。ずうっと、ずうっと、そうしちゃるよ。」

「じゃけん、背中が寒うないおまえは、さびしゅうない。のう、おまえにはお母ちゃんがおらん代わりに、背中を温めてくれる者がぎょうさんおるんじゃ。それを忘れるなや、のう、アキラ」

その2
母親の死の真相について、海雲和尚が残した手紙

「お前は母に命を守られ、父に育てられ、たくさんの人に助けられて、成人式を迎えるまで大きくなった。それをどうか、幸せだと思ってほしい。生きて在ることの幸せを噛みしめ、育つことの喜びを噛みしめて、これからの長い人生を生きてほしい。感謝の心を忘れないおとなになってほしい。母に、まわりのひとたちに、そしてなにより父にーおまえを世界の誰よりも愛してくれたち父に、いつか、ありがとう、と言ってやってほしい」

電車の中で読んではいけません。
お勧め!!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年2月6日
読了日 : 2022年2月6日
本棚登録日 : 2022年2月6日

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