いつの間にか表紙が変わっていたんですね。
以前のシンプルな感じも雰囲気があって好きです。
警察サスペンス小説に特殊能力捜査の要素をひとつまみ。基本的にはシリアス進行。
主人公の香西が持つ’生物が死の間際に放つ匂いを嗅ぎ分ける’という能力が、絶妙に決定打には欠けながらもいい感じの具合だったのだが、いま一歩活かされきれなかった印象。
が、それよりも何よりも足りないのは掘り下げ。
警察畑で定年まで勤め上げた男が、やむに止まれず道を外す、まさに心の奥底に潜む「怪物」や魔に呑まれる無念・葛藤・悲哀の描写といった本作の根幹と思われる部分がごっそり抜け落ちているのは致命的。
割と物語序〜中盤あたりで香西自ら進んで道を外れて突き進み、あとは真崎にいいように振り回されるのを見ているだけ。
「怪物」のことを’老い’と理解すればまだわからなくもないが、それは恐らく意図とは違うと思われる。
2刷
2021.11.7
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2021年11月7日
- 読了日 : 2018年5月29日
- 本棚登録日 : 2021年11月7日
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