日系ブラジル人の主人公マーリオ。
時はアトランタ五輪。
日本から夢を見てブラジルへ渡った移民一世の祖父を殴り倒し、弟を殺し、三世は夢を見て日本へ渡った。
たどり着いた現実は油まみれの自動車工場での安い賃金、過酷な労働。
気付けばヤクザの下請けのデリヘルのドライバー。
800ページ近い超長編。
読み応えは十二分だ。
日系移民の苦労が焦点に描かれるわけではないが、そのアイデンティティの不明瞭さや不透明な差別による、じわじわとした怒りや憎悪が滲み出る。
馳作品の最後はどれも救い用がないのだが、その過程に見える微かな一縷の望みがなんとも儚い。
死の間際に見える本当に欲しかったものが、ほんの一瞬、垣間見える...
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年12月31日
- 読了日 : 2022年12月31日
- 本棚登録日 : 2022年12月31日
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