眠る盃 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1982年6月11日発売)
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本棚登録 : 985
感想 : 77
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向田邦子の2作目のエッセイ集

教科書に載っていた「字のない葉書」をまた読みたくなって購入
当時とは読んだ感想が違うかもしれない
今は親目線の気持ちがよりよくわかる


改めて、エッセイの出来が素晴らしいと思う
着眼点、描写、構成、表現などどれをとっても一級品

ただ、「父の詫び状」よりも俗な話題が多い気がする


面白かったのは、ツルチック、中野のライオン、で読者から連絡が来て真相が判明するくだり
現代なら一般人でもSNSなどで容易に発信する事ができるし、運良くバズったりしたらわかるときもある
当時も有名な人であれば雑誌の記事などを目にした人から情報が寄せられたものなのだと感心する


あと、没になったアイデアのもなかなかよい
記憶喪失の四十七士が現代に来て国を憂うアイデア
原稿は進んでいないのに嘘の進行を伝えつつ、三島由紀夫のあの事件によって企画自体が没を告げられる
そしてあまり進んでいなかった事も看過されていたというオチ

他にも、若い頃に双子を名乗る詐欺の話を書いたが、リアリティがないと言われたやつ
実際にそんな事件が起きて、笑えてきてしまうというのも納得


向田邦子の小説は何作か読んだけど、他のももっと読んでみようかと思った

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年2月28日
読了日 : 2022年2月7日
本棚登録日 : 2022年2月28日

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