クリエイティブ人事 個人を伸ばす、チームを活かす (光文社新書)

  • 光文社 (2014年7月17日発売)
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人事だけなく、社長をはじめとするリーダーの人には、
こんな風に働いて欲しいという願いがあると思う。

一人ひとりが異なる個性を持っている。
その上、人にも会社にもチームにも、その前後間での状態がある。
あるところではうまくいったとしても、
それはあるところであって、他でうまくいくとは限らない。

何かの理想を軸として、人と対峙して制度を作り、少しずつ改善していく。
軸があるから、悪いところは悪いことだときちんと指摘できる。
この道にも一発回答はなく、ただ一歩ずつ進めることしかないのかなと思いました。

(以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
○「経営と現場の間に一貫性をもたせる」という言い方もよくしています。会社の目指す方向性を決めるのは少数の経営陣です。一方、現場で働く人たちはさまざまな局面において、自分で考えて決断し、成果を出します。これをうまく一致させること、そこに人事のクリエイティビティが見だされるのではないかと思います。(P.26)
○私たちは新しい人事制度を企画するときは、事前に社員に対してかなり入念にヒアリングをしますし、その制度を導入することによって、かえって社員がしらけてしまわないかということを考え抜きます。ネーミングにこだわるのは、その制度を流行らせたいからです。社員がその制度のことを家族や友人に自慢できるようにしていきたいと思っています。(P.29)
○また、制度をつくるうえで、私たちはむやみに平等性を追求しようとはしていません。社員の才能はそれぞれ異なります。にもかかわらず平等性にとらわれすぎると、一人ひとりがもっている才能を認めないことになりますし、才能のある人材を認めないことにもなりかねません。手を挙げた社員は誰でもチャンスを得られるという意味での公平性はとても大事ですが、人事は平等だけでは成り立たないと考えています。(P.29)
○「答えはみんなの中にあるって学んだ」と私は思った通りのことを言いました。(P.51)
○中途採用者に会社になじんでもらうことを藤田は「溶け込まし」と表現していましたが、それを可能にするためには、社員同士が話し合って親しくなれる機会を増やしていくしかないと考えたのです。(P.53)
○精度は細かく作り込んではダメなのです。もちろん、しっかりとした軸は必要ですが、制度自体はなるべく軽めにつくり、現場が運用しやすいようにしたほうがいいのです。
運用しやすい制度は社内に浸透します。逆に、いくらよくできた制度でも、現場でうまく運用されなければ長続きしません。「制度は計画が二割、運用が八割」。(P.61)
○評価・査定はシステムではなく、「納得感のある対話」なのです。日常的に上司が部下と話し合い、よければほめる。悪ければ指導するという関係を築いていれば、評価や査定の結果がどうであっても、部下は納得してそれを受け入れるのです。(P.62)
○会社を辞めていく人は、目標の達成度合いがなぜか下降気味になるとか、出勤や退勤の時間が変わるとか、体調不良を訴えるといったサインを出しています。そうした変化を100%読み取るのは不可能でしょうが、できるだけ見落とさないようにしなければなりません。人事の仕事に「びっくり」はあってはならないことなのです。(P.82)
○我々のリーダーである藤田は「理想と現実のギャップを直視して、一歩ずつ前進していくことが大事だ」とよく言います。マキシムズに書かれていることは理想ですが、経営陣が理想を掲げるからこそ、会社に軸ができ、人事には理想を実現していこうという覚悟と努力が生まれます。(P.87)
○全ての人事制度は流行らなければ意味がないという考え方に立ち、新たに制度を企画する際には、社員の反応を事前によく考え、社員がしらけてしまわないかどうかをイメージしています。(P.91)
○前回の倍近い167件もの応募があったのです。私が「何をやったの?」と尋ねると、彼女は「提案してくれそうな人を一通り回って、一人ひとりに声をかけただけですよ」と言いました。私は思わず「すごい!」とうなりました。一人ひとりに声をかけるだけで、それほどまでに応募が増えるとは予想もしていませんでした。
このうれしくも意外な結果は、人事の要諦を私に教えてくれたように思います。社員に動いてほしいときは、人事がまず動き、一人ひとりの社員と直接会って声をかけなくてはいけないのです。(P.97-98)
○英語人材の中にはそうした境遇に耐えられない人たちがおり、ちょっと仕事で壁にぶち当たると、「今の仕事は自分がやりたいことではない」とか「今の仕事では自分の力が生かせない」などと言って辞めてしまうことがあります。(P.113)
○リーダーを育てるためにはリーダーをやらせるしかなく、経営者を育てるためには経営をやらせるしかない(P.117)
○新任マネージャーに対して、「三つのスキル」を獲得するように求めています。それは「目標力」「役割力」「評価力」です。(P.123-124)
●目標力はチームの成果を定義し、メンバーを導く力。役割力は個々のメンバーの強みを見極め、成果を出すために配置する力。評価力は成果への進捗を確認し、軌道修正する力。(P.124)
○ミスマッチ制度は、将来の会社のために欠かせない有効な制度だと考えています。大事なことは「頑張っている人が報われる会社」をつくることであり、その障害になるものがあるのであれば、厳しい態度で挑まなければなりません。誰にでも優しい会社は、いずれすべての社員を路頭に迷わせてしまう可能性があります。(P.135)
○人事制度というものは、自社の”なりわい”合わせてつくらないといけない(P.169)
○仕事に時間のかかるメンバーがいて、本人の改善能力に期待できない場合にマネージャーがやるべきことは、その仕事からムダを取り除いてメンバーの負担を軽くすること、それに尽きます。(P.175)
○「ネガティブというものは流行るものだから、もしネガティブな人が出たら徹底的に排除する」とはっきりと言いました。(P.192)
○その直前に、藤田に「お休みをいただきます」とメールすると、「今回の件あhお疲れさまでした。ゆっくりしてきてくださいね」という返信がありました。労をねぎらうような文面に救われました。
以来、自分が必要とされている限りは、この会社のために精一杯尽くそうという思いを強くしました。(P.199-200)
○世間にはよく「トップは孤独だ」とこぼす社長がいますけれども、八木さんは人事部門を預かる身として、藤森さんに絶対にそんなことは言わせないと先に決めている。人事のリーダーがそこまで腹をくくっていると、経営パートナーそいての迫力が増しますね。(P.227)
○中でも私が感銘を受けたのは、会議のさなかに誰かが何を意見を言ったときに、ファシリテーターが「ほかに誰か同じようなことを考えている人はいませんか」と聞くというテクニックです。(P.233)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 頁履歴有
感想投稿日 : 2018年9月7日
読了日 : 2018年9月7日
本棚登録日 : 2018年9月7日

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