乃南アサは人物造形がうまく、テンポも良いので、土曜ワイド劇場(昭和すぎるか?)でも見ているような感覚になって本を置けなくなるのだが、この小説もなかなか良かった。
しかし、乃南アサの小説は読み終わるたびに後味が悪く、「ああ、読まないとよかったかも」とさえ思うのだが、この本も同じだった。普通の人が実はかなり愚かであること(自分も含めて)を見せつけられる感じ。ただ、結婚詐欺師の華麗な騙しっぷりが大変勉強になった。嘘でも大きくそして繰り返して言えば真に聞こえるということだ。結婚詐欺師を横文字て言うとライフスタイルコーディネーターとは、よく考えたものだ。みんな愛し愛されて、そこに豊かな暮らしがあればもっと素敵。そんな夢を売る仕事。宗教もそんなに変わらないかも・・・ということはあれも一種の詐欺なのか。
ちょっと不思議だなと思ったのが、本のあとがきで、なぜか編集部がお勧めの詐欺師語録を紹介している。なんでこんなのが必要なんだか、よくわからない。こんなあとがき初めて読んだ。甘い言葉に気を付けろってことじゃなくて、甘い言葉がいかに口説き文句として使えるかって視点だった。そんなのに引っかかるのかね?!
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- 感想投稿日 : 2022年8月15日
- 本棚登録日 : 2022年8月15日
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