卍(まんじ) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1951年12月12日発売)
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本棚登録 : 3372
感想 : 301
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ひととの距離を掴めないひとたち。

光子の場合には歪んだ自己愛を見せる。

P.103『異性の人に崇拝しられるより同性の人に崇拝しられる時が、自分は一番誇り感じる』

人格の異常(personality disorder)に魅力を感じるということは往々にして実存しうる。

人格、認知や行動に一貫した偏りがあったり、他者操作性があるようなひとを魅力的であると感じるのは別段おかしなことではない。

そして、この物語では光子という歪んだ自己愛に魅入られてしまったひとたち。

中盤以降、どうもおかしな方向へ話しが傾いてしまい、猜疑心或いは嫉妬によって操作されていく。

冷静で客観的な思考、現実を吟味する力が弱まり、渦中にいるひとすべてが身動きがとれなくなる。

まるで卍のように。

彼女たちの関係がいよいよ決定的ににっちもさっちもいかなくなった時、読み手は思わずこう呟くことになる。

マジ卍。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年7月31日
読了日 : 2020年7月30日
本棚登録日 : 2020年7月24日

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