彼女がエスパーだったころ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2018年4月13日発売)
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本棚登録 : 333
感想 : 30
3

「わたし」が似非科学と対峙する連作短編だ。
と言っても、「わたし」は決してその似非科学を暴いてやっつけるようなヒーローではない。
ただそれを「見る」だけだ。

SFともミステリーとも言い難い本作。
スプーン曲げや代替医療など扱う題材は面白い。
しかしながら、どうにもうまく表現できないが、私にとっては読みにくく、そこまで厚いとは言えない文庫本を読むことにいささか難儀した。
著者と私との波長が合わない、それが最もぴたりとはまる表現なのだろう。

シンクロニシティと崇拝、言霊と水質浄化、プラセボと終末医療......。
どれもこれも弱った心にするりと入り込んで狂信的とも言える信仰を集める。
それゆえに私の心はその描かれた疑似科学を拒んだのかもしれない。
知れば洗脳されてしまうかもしれない。
第六感、それも似非科学だろうか、本能が危険だと知らせた。
これは作り話、そう思っていても、簡単に人の心は流されてしまうものだから。

そんな考えこそが、いや、真実を突いているかも、いや、それも科学じゃない、いやいや、科学だって万能じゃない、仮定の話ばかりだ.....。
堂々巡りが、「かも」が、私の頭を埋め尽くしていく。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2018年7月24日
読了日 : 2018年6月23日
本棚登録日 : 2018年7月24日

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