遠縁の女

著者 :
  • 文藝春秋 (2017年4月14日発売)
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感想 : 31
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三遍の「女」の物語。

「機織る武家」は婿入りした夫とその後添えの妻、前妻の母である姑の三人の物語だ。
落ちぶれた家の名にしがみ付く者、妻にだけ暴言を吐く者、行きて行くために賃機をするもの......。
その機織が日々を変えて行く。
おかしなことばかり起こるものだと女は思うが、仕方がないと流れに身を任す。
良くも悪くもなっていないが、心のままに。

「遠縁の女」
父が武者修行をせよ、と言った。
この太平の世に。
何を馬鹿なことを、と男は思うが、そのことが男を変えて行く。
男は本当は学問が好きで、友はそんな男を見て学問をする理由を語る。
「乗れば、己れ独りで手がかりなしに考えるよりも、早く考えを進めることができる。
限りある時を無駄にせずに済む。
さらには、己れ独りでは行き着けぬ彼方の場処へも行き着ける」(166頁)
学問をする意味を知れば、人は未来に漕ぎ出でることが出来るのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2018年3月9日
読了日 : 2017年10月11日
本棚登録日 : 2018年2月19日

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