前作に引き続き、主人公は鮫島静緒。
それに加えて当初は嫌味な感じが漂っていた枡家修平の物語も並行して進められていく。
一般庶民としては、「ひゃー、お金持ちの家って大変!」というなんとも情けない感想が一番に出てきてしまうのだが、見栄や家柄、そんなものに縛られてしまうことの辛さもあるのかもしれない。
本作では、桝家の実の母、四季子の存在が大きい。
登場回数はそれほど多くはないが、何故彼女が、家をシェアする静緒と桝家の家に突然やってきたのかが最後に明かされる。
家のために冷たく実施を切り捨てたのはなぜだったのか。
そして、桝家のアイデンティティを彼女がどう考えていたのか。
うまくいくことばかりではないが、「受け入れる」ことと「親」が本作の主題であろうと思う。
最後に、訳ありな女性、美谷珠理。
彼女が得たのは「自由」。
愛とか恋とか、そういったものは良くも悪くも人を縛る。
印象的だったのは、彼女が乗った新幹線「自由席」。
作中でも触れられているが、含みのある、物語だ。
受け入れることと自由は同義語だ。
また、どこかでこの外商員たちと会いたい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2019年9月20日
- 読了日 : 2019年9月20日
- 本棚登録日 : 2019年9月20日
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