西洋絵画はキリスト教をテーマにしたものが多い。
しかも、ある一定のテーマが好まれたり、あるいはそうでないと見せかけてアイテムでわかる人にはわかる、としているものあったりする。
だが、キリスト教に馴染みの薄い日本人にとっては一体何が何を指し示すのか全くわからない。
そこで、これらを解説するものが必要となる。
とはいっても、文字だけだと飽きちゃうし、いまいちピンとこないんだよなあ.....
そんな人にオススメ。
オールカラーで有名な絵画を見ながら知らず知らずのうちに身についている。
この本一冊で西洋絵画を見るのがさらに楽しくなること間違いなしだ。
リンゴといえば、青森、長野.....ではなくて。
西洋絵画では「禁断の果実」、として描かれることが多い。
実は旧約聖書でアダムとイヴが食べたのはバナナかもしれない、なんて研究もあるのだが、ラテン語で悪を意味することからイメージが結びついた、と言われている。
黄金のリンゴなら勝者を意味するというから、色も重要なポイントだ。
カラス。
日本では八咫烏(サッカー日本代表のユニフォームについていた、あの鳥だ)として、神の使いとみなされることもあるが主に不吉な存在として描かれる。
確かに真っ黒で大きくて、ゴミ(絵画では屍肉)をあさっている姿はあまり好ましいモチーフとは言い難いイメージだが、ちょっと気の毒な気がする。
同じように、蛇や猿も日本では祀られていることがあるのに、西洋においてはマイナスイメージなのは文化の違いだろうか。
鍵。
アクセサリーのモチーフとしても好まれる鍵は、魂の解放、正当性など良い意味で使われることもあるが、男女の不貞を暗示することも......。
いろいろ見てみると、良い意味と悪い意味が入り混じっていることが多いのに気がつく。
さりげなく置いてあるように思えるものたちにも、画家は意味をもたせている。
そしてそれを鑑賞者は読み解いて楽しむ。
美術館では、せいぜい30秒しか眺めない絵画であっても、じっくり眺めてみれば、面白い物語が隠れている。
そこにこそ、絵画の面白さが詰まっているのだ。
- 感想投稿日 : 2015年9月2日
- 読了日 : 2015年8月29日
- 本棚登録日 : 2015年9月2日
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