文字の歴史 (知の再発見双書 1)

  • 創元社 (1990年10月1日発売)
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本棚登録 : 292
感想 : 22

古代文明から現在に至る文字の系譜を概観する内容.一応世界に存在する様々な文字について言及があるが,全体としてはキリスト・イスラム教圏の文字文化を中心に話が進んでおり,ヨーロッパにおけるフォントの変遷に関する話題などは面白かった.口を使う「言語」と手を使う「文字」が必ずしも同一視できるものでないというのは,興味深いことである.また,活字やその後のデジタル技術が発達したことで「完全なコピー」を行えるようになった現在の立場からすると,それ以前の時代は文字の形自体が必ずしも一定しておらず,どんな材質に記入されるかなどといった要因が字形そのものにも大きく影響していた,というのは,気づきにくい視点で,新鮮に感じた.
これはこの「知の再発見」シリーズに共通するのかは分からないが,スペースの問題があるにしても,挿絵の解説をもう少し充実させてくれていたら嬉しかった.

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文庫・新書・単行本 - 文化芸術
感想投稿日 : 2015年12月20日
読了日 : 2015年12月20日
本棚登録日 : 2015年12月18日

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