ファウスト(一) (新潮文庫)

  • 新潮社 (1967年11月28日発売)
3.74
  • (129)
  • (141)
  • (203)
  • (16)
  • (8)
本棚登録 : 2254
感想 : 136
5

私生児を産んだ女への懲罰をゲーテが廃止したのは、この時代にパラダイムシフトがあったのでしょうか。優れた物語はいつも、転換点前夜のまどろみを描きます。だからグレートヒェンは我が子を殺して破滅するのですが、それに比べて、ファウストの苦悩や悔恨は口先ばかり。まるで、生き延びてしまった老人はこうやって世間を眺めているんだよと言わんばかりの冷たい表情で、死んだ友人たちを呼び起こして追憶を始める。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年7月11日
読了日 : 2017年7月10日
本棚登録日 : 2017年7月10日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする