秘密 (文春文庫 ひ 13-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2001年5月10日発売)
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本棚登録 : 41894
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本作『秘密』は特殊な設定も日常の描写も含めて、とても心に響く作品でした。

自動車部品メーカーで働く平介は、ある日の朝に妻と娘がバス事故にあったニュースを目にし、動揺する。
妻と娘を一度に亡くすのでは?と言う恐怖の中、奇跡的に小学生の娘は命を吹き返すのだが………。

前半は娘?との成長を素直に喜べない平介の葛藤や、次第に遠退いていく妻との想い出と今に苛立ちを隠し切れず、また同時にバス事故の真相に引き寄せられ、何かの答えを求める自分の行動が周りから冷たい視線を向けられと、何とも言い難いがリアルさを感じる展開。

一方の後半は、娘との日常を受け入れ、父親として奮闘しつつ、その時を迎えると言う切ない展開。しかし最後は『秘密』を知り、涙する。

ミステリ作品が多い印象の東野圭吾さんだが、このような辛くも心温まる作品が読めたことは、素直に良かったと思える読後感でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: レビュー済み
感想投稿日 : 2023年3月10日
読了日 : 2023年3月10日
本棚登録日 : 2022年9月24日

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