三宅紘二郎74歳はカレー屋を独りで、40年間営んでいましたが、とある決心をします。
紘二郎の実家は医院を開業してして父も兄も医者でした。
父は戦争を経験していて、戦地で世話になった草野一等兵に恩があり、半身不随の体になった草野の娘と自分の息子を許嫁として結婚させる約束をしました。
そして、父は草野の娘の睦子には5歳年上の紘二郎の兄であり医者を目指している征太郎をと決めていて、睦子と同い年の紘二郎は無視されました。
しかし、初めて睦子と顔合わせをした日、睦子と本当に惹かれ合ったのは紘二郎でした。
睦子と紘二郎は父が亡くなったのをきっかけに二人の本当の気持ちを家族に打ち明けますが、聞き入れられず睦子と征太郎の結婚式の日に二人で駆け落ちをし、二人で働きながら幸福な二年間を過ごし、二人が二十歳になった時婚姻届けを出しますが、そこから足が付き、征太郎が睦子を奪い返しに来ます。
征太郎は母が首を吊り、草野が重篤だといいます。
それを聞いた睦子はショックで戻ると言い出します。
しかし五年後、征太郎が、睦子と五歳の娘桃子、義父の草野を殺して無理心中を図りますが、自分だけ死にきれず、20年間服役します。
紘二郎は40年後の今、征二郎からと思われる葉書を受け取り決意をします。
「兄さん、今からあんたを殺しに行くよ」
睦子を迎えに行こうと思っていたワインレッドのコンテッサに乗って。
コンテッサを売った青年リュウと紘二郎は知り合い、とあることからリュウと二人で車を運転しながら大阪から九州まで旅に出た六日間。
リュウも重大な事情を抱えていました。
以下ネタバレです。お気をつけください。
最後は意外な人物が登場してきてキーマンとなり事件は終焉を迎えることができます。
リュウはこれから先が大変ですが、きっと紘二郎と出会ったことにより、少しでも事態がよいものになってくれるのを祈るしかありません。
最初は一体どんな修羅場が起こるのかと思った物語ですが、深い緑色の表紙の色のように静かに終わってくれてよかったです。
- 感想投稿日 : 2021年5月27日
- 読了日 : 2021年5月27日
- 本棚登録日 : 2021年4月23日
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