原田マハさんの小説は、図書館が開館したら1番で借りられる予定の最新作以外は、ごく初期の2,3作品を除き、全て、マハさんにお詳しい御親切なフォロワーさんにご助言いただき、全てブクログの本棚に載せましたが、ブクログ登録前に既読だったこの作品だけ載せていなかったので、再読しました。
第25回山本周五郎賞受賞作で、美術ミステリーですが、2012年に出版されておそらく、すぐに拝読したので、所々思い出したものの、最後は全く覚えていず、再び楽しんで読むことができました。
全然古い感じはなく、ラストシーンでは「やられた!」と感嘆の声をあげ、マハさんの実力を再認識しました。
2000年、倉敷の大原美術館で監視員として働いていた、シングルマザーの早川織絵のところへ、ニューヨーク近代美術館(MOMA)のチーフ・キュレーターのティム・W・ブラウンからオリエ・ハヤカワを交渉の窓口にすれば、絵画のレンタルを考えてもよいという打診があります。
大原美術館側は、アンリ・ルソー展を開くにあったてアンリ・ルソー作の『夢』だけでも借り入れたいと織絵に白羽の矢をたてます。
1983年、伝説のコレクター・コンラート・バイラーがふたりの研究者に真贋鑑定の依頼をします。
鑑定作品はアンリ・ルソーの『夢をみた』。勝者に贈られるのは『夢をみた』の取り扱い権利。
ふたりのうち一人は、トム・ブラウンですが、1文字違いの名前を持つティム・ブラウンがトムになりすまし、参加。もうひとりはソルボンヌ美術史科・研究職のオリエ・ハヤカワ。
ふたりはバイラーに一冊の古書で『夢をみた』という七章からなる物語を渡し、毎日一章づつ読み、真贋の判断をするようにと言い渡します。
古書の内容は、売れない画家のアンリ・ルソーとモデルのの洗濯女ヤドヴィガ、その夫のジョゼフ、仲間の画家パブロ・ピカソ、詩人のギューム・アポリネールらの物語です。
途中でティムは自分の本当の名前をある人物に知られおどしをかけられたり、『夢をみた』の隠された秘密を知ることになります。
ルソー、ヤドヴィガ、ジョセフ、ピカソらの『夢をみた』の作中作がまず、素晴らしく、最後のヤドヴィガが天国の鍵を握ってルソーと結ばれたというシーンでは、涙腺が緩みました。
また、ティムとオリエの第十章での対決、勝負のシーンも全く予想外で夢にも思わぬ結末でした。
全ての話がつながったとき「マハさんって、やっぱり最高!」と思いました。
- 感想投稿日 : 2020年5月5日
- 読了日 : 2020年5月5日
- 本棚登録日 : 2020年4月15日
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