第40回講談社出版文化賞絵本賞受賞
大切な人を喪った人をどうやって再生させるのかをやさしく描いた絵本だと思います。
くまのかなしみ、なくなったことりの愛らしさ、森のどうぶつたちの心配。
大切な人の葬り方、新しい友だちややまねこの理解力とやさしさ、くまの再生力などがとても簡単なことばで描かれていると思います。
誰かはじめて大切な人をなくした子どもに読んであげてほしい絵本です。
以下ストーリーを抜粋します。ネタバレしているのでこれから読まれる方はお気をつけください。
ある朝、なかよしのことりがしんでしまってないているくま。
くまは小さな箱を木の実のしるできれいな色にそめ、なかに花びらをしきつめことりをそっと箱の中にいれました。
「ああ、きのうはきみがしんでしまうなんて、ぼくは知りもしなかった。もしもきのうの朝にもどれるなら、ぼくはなにもいらないよ」
くまは大つぶのなみだをこぼしていました。
森のどうぶつたちはその箱をみせられるといいました。
「くまくん。ことりはもうかえってこないんだ。わすれなくちゃ」
くまがいえのそとへあるきだし、川べりの土手でひるねをしていました。するとおかしなかたちの箱をもっているやまねこにあいました。
やまねこに箱のなかをみせてもらいたいというくま。
やまねこはくまの箱をみせてくれればみせるといいました。
やまねこは「きみはことりがしんで、ずいぶんさびしい思いをしているんだろうね」といい、じぶんの箱をみせてくれました。
なかからでてきたのはバイオリンでした。
やまねこはことりのためにバイオリンをひいてくれました。
そのあいだくまは、ことりとのなつかしい日々を思いだしました。
くまはことりを森のなかの日のあたるばしょにうめました。そして石をおき花でかざりました。
やまねこは「さて、そろそろ行くとするかな」といってバイオリンケースをかつぎました。
「きみもいっしょにくるかい?」
やまねこはリュックサックからタンバリンをとりだしました。ふるいタンバリンでした。くまはいったいタンバリンはだれがたたいていたのでしょう、やまねこにもずっといっしょだった友だちがいたのでしょうか…と思いました。
きいてみるかわりにくまはいいました。
「ぼくれんしゅうするよ。おどりながらタンバリンをたたけるようになりたいな」
- 感想投稿日 : 2022年10月6日
- 読了日 : 2022年10月6日
- 本棚登録日 : 2022年9月25日
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