読書からはじまる (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房 (2021年5月12日発売)
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本棚登録 : 1280
感想 : 53
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池澤春菜さんの解説から引用します。
「この本はいわゆる読書論や、読書のすすめではありません。もっと根源的な、言葉について、そして自分のありようについて考える本と言えるかもしれません。古今東西の言葉を収めた『本という考え方』とどう向き合っていくか。全てのページに、一生を通じて、折に触れ思い直し、噛みしめるような宝物のような言葉が溢れています」


全くその通りだと思いました。すごく栄養価の高い食品を少量頂いたかのような気持ちになりました。
詩人、長田弘の他なる一面を改めて知り得たと思いました。今の世の中にこれ程わかりやすく、奥深い知見を広げてみせてくれる方は少ないと思います。
この本を読んだことを忘れそうになったら繰り返し読みたい本です。


以下印象深い文章を少しだけ抜粋します。


はじめにより
本というのは「本という考え方」。
本は「本という考え方」を表すものであるということ。
本は「本という考え方」をつくってきたものである。
本によって、本という一つの世界のつくり方を学ぶということ。
本の大事なありようのもう一つは、じつは「読まない本」の大切さです。
「本の文化」を深くしてきたものは、読まない本をどれだけもっているか。
読んでいない本が大事なんだという本との付き合い方がどこまでも未来にむけられた考え方としての「本という考え方」を確かにしてきた。
(以下略)

・本という文化を育ててきた人間がそこにいる。本のあるところ、つねに人間がいる。それは、友人としての本という感覚。感じ方がじつは本の文化というものをつくってきたのだということです。

・本の文化を自分のものにできるかどうかの重要な分かれ目は、その再読のチャンスを自分のなかに、生活のなかに、日常のなかに自分の習慣としてそれをつくってゆくことができるかどうか。

・どんなにおカネを持っていてもおカネで買えないものが言葉。

・心はどこにもないものだから言葉でしか言えないのです。


以下、書き写していると全文書き取りになってしまうので、この辺で。


尚、この本では子どもの本についていても触れていて、子どもの本というのはじつは大人こそが読む本にほかならないと長田さんはおっしゃっています。
私はあまり読んでいない分野なので、これから少しづつ読んでいってブクログの本棚にも載せていけたらと思いました。
また、ブクログの存在は、本を友人にするにあたって大変こころ強いものだと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 読書 言葉
感想投稿日 : 2022年4月9日
読了日 : 2022年4月9日
本棚登録日 : 2021年5月4日

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コメント 11件

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2022/04/02

まことさん
読書の世界を開く一冊。小澤真弓のカバー画が具象と抽象を行き来する入り口にピッタリ!

まことさんのコメント
2022/04/02

猫丸さん。
コメントありがとうございます!
この本絶対どこかに積んでる!と思って今、本の山から探し出しました。
ありましたよ。
昨日、ブックリストを作るときにこの本を入れようか迷ったのですが。
買ったきり積んであったので(^^;
エッセイのレビューは苦手なので、つい図書館からきた小説が優先になってしまいます。
でも、近いうちに読みたいです。
池澤春菜さんの解説ですね!

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2022/04/02

まことさん
そうそうと肯くコトの多い一冊です。ゆるりとお読みください、、、って何様?
猫は、読むより在る筈の本を探して彷徨っています。今は「詩は友人を数える方法」、、、

まことさんのコメント
2022/04/02

猫丸さん。
「詩は友人を数える方法」図書館にあったんですけど、かなり古い本ですね。
今、調べなおしたら、1993年になっていました。
ボロボロで、さわりたくない本がきたら、と思うと、予約(取り寄せです)できないのです。

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2022/04/02

まことさん
はい、単行本は1993年初版で、1999年に文庫化されているのですが、文庫の方には、年譜と著作目録があって、ハルキ文庫の誤りの元かどうか調べたくて探しています。。。
この本は、とってもジミーなので多くの人の手に触れられ無いかも、、、でも凄く素敵ですよ!

まことさんのコメント
2022/04/02

猫丸さん。
図書館は10冊までしか、予約がいれられず、今は目一杯入れているので、少し予約本が減ったときに、取り寄せてみます。
ありがとうございます。

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2022/04/02

まことさん
どんなに時が経っても此の本の価値は変わらない。予約本が少ない時に、、、そんな時は無い?

まことさんのコメント
2022/04/02

猫丸さん。
予約本、減らずに冬に突入(・・?
なことに、なりませんように。

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2022/04/02

まことさん
神のみぞ知る、、、

まことさんのコメント
2022/04/09

猫丸さん。
ありがとうございます。『読書からはじまる』読了しました。
すごくよかったです。今年読んだ本No1です!
もっと早く読めばよかったと思います。
読むきっかけを与えて下さって本当にありがとうございました!
この本を読んで気が付いたのですが、なぜ猫丸さんがいつもあんなに大量に読み切れない程の本をレビューされるのは、長田弘さんの影響があられるのかと思いました。この本でいう「蓄える」場所を作られているのかと…。違っていたらごめんなさい。
気づきのありすぎる本でしたが、レビューに引用は紹介程度にとどめて、忘れたら再読しにこの本に戻ってこようと思っています。

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2022/04/09

まことさん
猫は単に欲深いだけですヨ、、、
それは兎も角、長田弘の文庫化が続くので嬉しい限りです、、、

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