年齢のせいか、『三四郎』よりも、『それから』よりも、『門』が1番今の自分の感覚にしっくりと来た。
宗助と御米のような罪を犯したことはなくとも、生きれば生きるほど、過去の自分の行動に対しての後ろめたさや後悔は年ごとに積もっていく。
三四郎や代助が、若さの中で自分の気持ちに素直に生きていたのとは対象に、代助はその若い時分に犯した過ちを永遠に背負って生きていくことになる。
幸せなことに対する罪悪感を抱きながら、影に隠れて御米と二人でひっそりと暮らしていく様に、ある程度歳を重ねた人であれば、共感もあるだろう。
宗助と御米夫妻は不仲とは縁遠い場所におり、二人でいることに静かな幸せを感じているだろう。だが、その幸せも過去の罪の上に成り立っている。
二人が一緒にいる限り、過去への後ろめたさへの葛藤は永遠に拭いきれないことに、読者としてもやるせなさを感じてしまう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年2月12日
- 読了日 : 2024年2月3日
- 本棚登録日 : 2023年12月18日
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