絹の変容 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (1993年8月25日発売)
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感想 : 53
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再読。
包帯工業の冴えない二代目が夢見た幻の絹織物の再現。やり手の若手経営者や変わり者の女性生物学者を巻き込んだその夢の先には、長さ15cmと巨大化し肉食になった蚕の大群がもたらす災厄が待っていた。
大人が次々食い殺される派手なシーンはないが、養鶏や乳児の逃げ場のない弱者を確実に狙って猛進する襲撃は地味ながら虫唾が走る不気味さ十分。噛まれるとアレルギー体質の人の死亡率を上げるという側面もリアル。
対抗する人間の火炎にも動きを止めず、仲間の屍を乗り越えて進行する肉食蚕たちはさながらナウシカの世界のようだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: パニック
感想投稿日 : 2021年2月20日
読了日 : 2021年2月20日
本棚登録日 : 2021年2月20日

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